2019年09月15日号
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第二の皮膚

Second Skin

「衣服は人間の皮膚に次ぐ第二の皮膚である」という考え方で、もともとはマーシャル・マクルーハンのメディア論に端を発している。マクルーハンはメディアやテクノロジーを身体の「拡張」であると捉えており、ラジオが耳の、自動車等が足の拡張物であるという捉え方と同様に、衣服は皮膚や身体の拡張であるとしている。日本では、哲学者の鷲田清一がこの概念についてたびたび言及しているが、鷲田自身はマクルーハンの捉え方を完全に踏襲しているわけではない。鷲田は「身体=自らのもつ身体的イメージである」という立場に立っており、その身体イメージの形成に深く関わるファッションこそ第一の衣服であり、人間の皮膚は第二の衣服であると論じており、「第二の皮膚」の礎となっている、身体に順ずるものとして衣服が存在するという考え方を脱臼させた。「第二の皮膚」は、実際の衣服のデザインにもたびたび展開されている。例えば、三宅一生は、70年に「タトゥー・ボディ」というシリーズで、衣服と皮膚の隙間をなくすことで、身体の装飾や保護といった衣服の機能は保持しつつも、限りなく「衣服」という概念と「皮膚」という概念が近づく衣服を制作し、まさに「第二の皮膚」としての衣服を生み出した。現在では、東京コレクション参加のブランドであるSOMARTA(デザイナーは廣川玉枝)が、「衣服の可能性・第二の皮膚」をコンセプトとした無縫製ボディウェア「SKIN SERIES-FALCON」を継続的に制作し、発表している。

著者: 高城梨理世

参考文献

  • Understanding Media: the Extensions of Man, Herbert Marshall McLuhan, McGraw-Hill, 1964
  • 『メディア論 人間の拡張の諸相』, マーシャル・マクルーハン(栗原裕、河本仲聖訳), みすず書房, 1987
  • 『ちぐはぐな身体 ファッションって何?』, 鷲田清一, ちくま文庫, 2005
  • 『モードの迷宮』, 鷲田清一, ちくま学芸文庫, 1996

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