バックナンバー
2019年07月15日号のバックナンバー
フォーカス
「見えないこと」から「見ること」を再考する
──視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ
[2019年07月15日号(林建太/中川美枝子/白坂由里)]
晴眼者と視覚障害者が一緒に美術を鑑賞する。そのとき、障害の有無にかかわらず、多様な背景を持つ人が集まり、美術作品を通じて語り合う場がつくられる。2012年に発足し、横浜美術館、東京都現代美術館など全国の美術館や博物館でこうしたワークショップを企画運営している「視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ」。視覚中心のアートをどうやって見るのか、実際にワークショップに参加してみて新たな発見があった。代表の林建太氏とスタッフの中川美枝子氏へのインタヴューを交えてレポートする。
キュレーターズノート
ポロトコタンの半世紀──行幸、万博、オリンピックを補助線として
[2019年07月15日号(立石信一)]
2020年4月に、北海道白老郡白老町に8館目の国立博物館である国立アイヌ民族博物館がオープンする。今号より、その運営準備室の立石信一氏に、前身のアイヌ民族博物館(ポロトコタン)の経緯、「民族共生象徴空間」としてのオープンに向けての準備、また地元のコミュニティの文化芸術シーンについてご寄稿いただく。(artscape編集部)
広島市現代美術館 開館30周年記念特別展
「美術の七燈」を解題する
[2019年07月15日号(中井康之)]
「美術館の七燈」展という展覧会タイトルは、19世紀の大英帝国を代表する美術批評家ジョン・ラスキンによる夙に有名な『建築の七燈』からとられている。ラスキンは代表作のひとつ『近代画家論』を執筆する最中、ゴシック建築が崩壊していく状況に対して、その保存と再生の必要性を説くために、その芸術性に焦点を当てて書き上げたのが『建築の七燈』である。その書物のタイトルとゴシック建築のリバイバルを意図したということからも明らかなように、この「七つの燈」が示すのは、ゴシック建築の優れた特質を証明するものであることは明らかだろう。
美術館の存在意義──追悼 桜井武 熊本市現代美術館館長
[2019年07月15日号(坂本顕子)]
去る6月8日に熊本市現代美術館の桜井武館長が、胃がんのために75歳で亡くなった。4月13日にオープンした「大竹伸朗 ビル景 1978-2019」展の開会式ではスピーチを行ない、同展について執筆しようと資料を集めていた矢先のことだった。治療を続けながら勤務を続け、最後まで「館長」としての職務を全うされたその姿勢に心からの敬意を表して、通常のレポートとは異なるかたちで恐縮だが、桜井館長の業績について、ここで振り返ってみたい。
トピックス
スタッフエントランスから入るミュージアム(1)
渉外──美術館の可能性を社会に開く
[2019年07月15日号(襟川文恵/坂口千秋)]
「アートの仕事」を思い浮かべたとき、キュレーター、ギャラリスト、アートコーディネーターまではすぐに思いつきます。しかし、実際には、驚くほどさまざまな「アートの仕事」があるのです。 今回から始まるシリーズは、通用口や搬入口というスタッフが入るエントランスから、美術館のバックヤードに入ってみようという企画。毎回、さまざまな職業の個性あふれる仕事人たちに登場を願い、私たちが見ている展覧会やコレクションを縁の下から支える仕事を紹介していただきます。 第一回目、まずは美術館と外部をつなぐ窓口の役目をされている方にご登場いただくことにしました。(artscape編集部)