バックナンバー
2020年09月15日号のバックナンバー
フォーカス
ネットアートのゾンビと、神の降臨を祈る機械たちの儀式
[2020年09月15日号(藤田直哉)]
ネットアートは死んだ、と言った人がいる。それに倣って言えば、東京都写真美術館で開催されているエキソニモの大規模個展「UN-DEAD-LINK アン・デッド・リンク インターネットアートへの再接続」では、インターネットアートが、死んでいた。
ここで言う「死」とは、「ロックは死んだ」的な意味での死である。ジャンルとして似たものが再生産されていることではなく、それが始まったときにあった精神や理念、態度や果たしていた機能が、なくなったという意味である。
キュレーターズノート
「コミュニティー」と「祭り」のあり方──飛生芸術祭から見えてくるもの
[2020年09月15日号(立石信一)]
前回の執筆時点(2020年4月15日号)では、東京2020オリンピック・パラリンピックが延期になるなど、新型コロナウィルスの広がりが大変なことになってはいたが、ここまで社会のあり方に影響を及ぼすとは想像していなかった。
謙虚さを学ぶ──「YCAMオープンラボ2020:続・ナマモノのあつかいかた」
[2020年09月15日号(吉﨑和彦)]
11月の開催に向けて準備を進めていたホー・ツーニェンの展覧会が、来年4月に延期となった。本展では新作を発表する予定だが、コロナ禍により国外との往来が制限され、滞在制作や展示のために作家が来日する見通しが立たなくなったことが主な理由で、延期という判断に至った。
このようにYCAMでは4月以降、いくつかのイヴェントが中止や延期となっているが、その一方で、開催形態をオンラインに変更しての実施や、新たにオンライン・プログラムをつくるなどインターネット上でのプログラム展開について試行錯誤している 。そこで今回は、そのような取り組みのひとつとして、6月から8月の9週にわたって配信したオンライントーク企画「YCAMオープンラボ2020:続・ナマモノのあつかいかた」について書きたい。YCAMのバイオテクノロジーへの取り組みについては、このキュレーターズノートでも何度か紹介してきたが、このトークイヴェントは、バイオテクノロジーに取り組むアートセンターとしてYCAMが、このコロナ禍で何ができるかについてスタッフ間で議論してきたなかで、急遽立ち上がった企画である。
アートを摂取すること──「猪熊弦一郎展 アートはバイタミン」
[2020年09月15日号(橘美貴)]
リオープンをした丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(以下、MIMOCA)で、「猪熊弦一郎展 アートはバイタミン」が開催されている(2020年9月22日まで)。
戦後日本美術における猪熊弦一郎の存在は大きなものだが、出身地である香川では特に重要作家のひとりと位置づけられており、MIMOCAを中心に彼のことを「いのくまさん」と親しみを込めて呼ぶことも多い。亡くなってもうすぐ30年になるが、いまなお老若男女問わず身近な作家として知られている。そして、その芸術精神を伝えるMIMOCAの再開は特に地元のアートファンによって心待ちにされていた。
「プランB」ではないオンラインイヴェントの可能性
──新型コロナウイルス流行下の試みから
[2020年09月15日号(町村悠香)]
都内にある多くの美術館と同様に、筆者の勤務する町田市立国際版画美術館は、新型コロナウイルスの影響で3月末から6月初めにかけて臨時休館を余儀なくされた。当初4月から6月にかけて開催される予定で、前回記事でも紹介した担当展「インプリントまちだ展2020 すむひと⇔くるひと —『アーティスト』がみた町田—」は臨時休館明けの6月9日から9月13日までに会期が変更され、当初7月から9月で開催予定だった「浮世絵風景画──広重・清親・巴水 三世代の眼」は来年度に延期となった。