バックナンバー
2022年10月15日号のバックナンバー
フォーカス
「モダン」へのパサージュ──「交歓するモダン 機能と装飾のポリフォニー」展に映る現在
[2022年10月15日号(松山聖央)]
今年は「ガブリエル・シャネル展 Manifeste de mode」「ジャン・プルーヴェ展 椅子から建築まで」「フィン・ユールとデンマークの椅子」など、20世紀のモダン・デザインを紹介する大規模な展覧会が相次いで開催されている。ある特定の時代の動向を指しながらも、今日性をも意味するモダニズムについてあらためて見直すチャンスとなっているといえそうだ。本稿では、20世紀初頭のモダニズムのグローバルな同時多発性や個人や活動グループの影響関係に注目した「交歓するモダン 機能と装飾のポリフォニー」展を、近現代ドイツ思想をもとに環境美学を研究する松山聖央氏に解題していただく。(artscape編集部)
キュレーターズノート
観光と造形の間を行き来する12通りのイメージ──「小林耕平 テレポーテ―ション」
[2022年10月15日号(野中祐美子)]
「テレポーテーション」という言葉を聞くとどこか懐かしい響きがするのは私だけだろうか。幼少期、日本の多くの子供たちが観ていたであろうアニメ「ドラえもん」の影響かもしれない。ドラえもんは、瞬間移動の道具「どこでもドア」でのび太を幾度となく助け、机の引き出しを開けると「タイムマシン」で過去にも未来にも自在に移動することができた。私にとってのテレポーテーションを考える原初体験はこのアニメだったように思う。
「コレクション」を考える(5)──これからの歴史をつくる栃木市立美術館
[2022年10月15日号(志田康宏)]
本連載では、元来そのような方針にしていたわけではないが、第1回記事を除きすべて栃木県内の事例に統一されている。「コレクションを考える」という連載テーマで取材先を考えていったところ、たまたまこのタイミングでさまざまな「コレクション的に面白いこと」が栃木県内で起こっていたため、結果的に県内の事例が続いたという状況である。そういう意味では、最高の事例をつないでいくことのできた最高のタイミングで本連載のお話をいただいたのだと思う。
前回は栃木県立美術館50年の歴史を館蔵コレクションから語る展覧会を取り上げたが、今回は対照的に、その歴史の第1歩をこれから踏み出す新しい美術館のコレクションに注目したい。
美術館からの逃走──「みる誕生 鴻池朋子」(高松会場)と大島での展示
[2022年10月15日号(橘美貴)]
今夏、高松市美術館にて展覧会「みる誕生 鴻池朋子」が立ち上がった 。本展は瀬戸内国際芸術祭2022の夏会期に合わせて開催されたもので、鴻池は芸術祭にて大島でも作品を展開している。この2カ所での展示は高松市美術館でのインタータイダル・ゾーン(潮間帯)を介してつながり、鴻池は鑑賞者を美術館の外へと連れ出していった。
アート・アーカイブ探求
ヴィフレド・ラム《ジャングル》──私たちはひとつである「村田宏」
もしもし、キュレーター?
第4回 どうせ学ぶのであれば、誰かと一緒に学びたい──赤井あずみ(鳥取県立博物館/HOSPITALE)×尺戸智佳子(黒部市美術館)[前編]
[2022年10月15日号(赤井あずみ/尺戸智佳子/杉原環樹)]
学校と連携して教育普及事業を展開したり、地域と美術館をつないだり──従来の「学芸員」の枠組みにとらわれずユニークな活動を展開する全国各地のキュレーターにスポットをあて、リレー形式で話を聴きつないでいく対談連載「もしもし、キュレーター?」。久々の更新となる今回は、黒部市美術館の尺戸智佳子さんが以前からその活動の幅広さに注目していたという、鳥取県立博物館の赤井あずみさんを訪ねます。
ご自身の出身地である鳥取を拠点に、「HOSPITALE PROJECT」や「ことめや」といった試みの場をいくつも立ち上げ、人を呼び込み、次の出来事につなげていく。人と場を起点とした多様なかたちのプロジェクトを通して、地域とアートの接点を増やしていくその様子は、つい仲間に加わりたくなる不思議な魅力を纏っていました。そんな鳥取のキーパーソン・赤井さんの秘密に迫る対談を、前後編でお届けします。前編は赤井さんが複数の拠点を持つことになったきっかけについて。(artscape編集部)
[取材・構成:杉原環樹/イラスト:三好愛]
※対談の後編「その町で一人ひとりが能動的になること、活性化すること」はこちら。
※「もしもし、キュレーター?」のバックナンバーはこちら。