プロダクトデザイナー森正洋さんの回顧展と嬉野のアトリエ

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こんにちは。
10月30日から11月1日まで調査や取材などで九州に行ってきました。今回訪問した場所などもこれから徐々にレポートをアップしていきますが、まずはタイムリーな話題からスタートしたいと思います。
10月31日に佐賀県立九州陶磁文化館で森正洋さんというプロダクトデザイナーの回顧展となる「森正洋の全仕事」展がスタートしたのですが、ぼくもこの展覧会準備のお手伝いを少しだけさせていただいたので、見に行ってきました。森正洋さんは日本のプロダクトデザインの第一人者の一人ですが、生涯を佐賀県を拠点に暮らしたという希有な人です。そして僕らの日常生活でよく見るかなり多くの製品が、実は森さんのデザインだったりします。例えば、無印良品にも森さんのデザインによる食器シリーズがあります。

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僕は森さんがある一地方にずっと暮らしながら、人の生活に密着する食器を無数につくり続けたというところにすごく魅力を感じています。残念ながら2005 年に逝去されたのですが、今回は佐賀県では初の森さんの回顧展となるそうです。森さんの自宅兼アトリエは佐賀県嬉野市にあり、亡くなる直前までここで様々 な生活用品を生み出しておられました。この自宅がとても素敵で、森さんの生活に対する感覚や人柄などが、家から滲み出ています。どういう場所で如何なる活動をするかを考える上で、非常に気になる空間です。


以下、まずは森さんが生前暮らしておられた嬉野のお宅です。
06mori_house.jpg↑正面奥が住居、手前の円筒状の屋根を持つものが半地下のアトリエ兼作業場、さらに写真には写っていませんが、左奥に倉庫兼作業場で現在は合同会社森正洋デザイン研究所の事務所となっている場所と、収蔵倉庫、右手に森さんの作品が展示された小ギャラリーがあります。

12_atlier.jpg13_atlier.jpg↑半地下のアトリエです。現在も森さんが仕事をされていたままの状態で保存されています。


07atlier.jpg 08atlier2.jpg↑こちらも森さんの作業場だったのでしょうが、現在は合同会社森正洋デザイン研究所の事務所にもなっていて、森さんの作品のアーカイブ作成などに取り組まれているそうです。

14_working.jpg15_working.jpg↑森さんのデスクがそのままの状態で残っています。

16_working.jpg17_working.jpg↑日々仕事をされていた感じが想像されます。

10photgraphing_set.jpg↑事務所の一角にはアーカイブ作成用の撮影ルームも設置されています。

18_gallery.jpg↑住居脇にある小ギャラリーです。

20_collections.jpg ↑倉庫には森さんの試作品やコレクションされたもの、スケッチブックなどがぎっしり詰まっています。ここが面白いんですよね。
これらの森さんの暮らしていた場所は、将来的にはちょっとした記念館として公開されるかもしれないそうです。四国のイサムノグチ庭園美術館のような感じになるのでしょうか?楽しみです。



展覧会自体は森さんの作品を網羅的に紹介するもので、約2000点の食器が展示されています。見どころは第一展示室の平めし茶碗で、平めしと同じ円形に切 り抜かれたテーブルに約740点の茶碗が並んでいます。こちらの什器は福岡在住の建築家で、僕の大学時代の先輩でもある平瀬有人&祐子さんの平瀬アトリエによる設計です。平めし茶碗は森さんの代表作で、会場2階のレストランで購入することもできます。一点2,500円とお安いんですよね。僕もつい買っちゃいました。

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03mori_room.jpg↑ここがメインの空間で、日常食器のなかでも種類も豊富で飽きのこない平めし茶碗を色んな角度から見てもらえるように工夫がされています。


また、今回はiPhoneのようなWi-Fi接続が可能な携帯電話を用いた展示のナビゲーションシステムを、assistantというアーティストユニットの須之内元洋さんが手がけて います。ちなみに須之内さんはartscapeでミュージアムIT情報に関する連載を今年の3月まで担当していました。このシステムは、携帯電話などから指定のIPアドレスにアクセスすると、専用サイトが立ち上がり、展示品のキャプションに携帯マークのある作品の解説を確認することができるというものです。また、貸し出し用のiPod touchでも、このナビゲーションシステムをご利用いただけます。assistantは森正洋さんの作品のアーカイブづくりも担当していて、その流れか ら今回のシステム制作に至ったようです。アーカイブについても今後公開していくそうです。

ちなみに展覧会の写真を中心とした最初の2枚と最後の3枚は僕が撮影していますが、その他の森さんのアトリエの多くの写真は須之内さんから提供していただきました。

04navigation.jpg↑こんな感じで、携帯から作品の情報をチェックすることができます。

展示は11月23日までです。近いうちに詳しく紹介しますが、この近隣の波佐見町にmonne porteという興味深い場所があるので、そちらとあわせてご訪問いただければと思います。ちなみにmonne porteでは11月14日までアーティストの岩井優さんが公開滞在制作を実施しています。

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