2018年09月15日号
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《リズム0》マリーナ・アブラモヴィッチ

Rhythm 0, Marina Abramović

ユーゴスラビア出身の美術作家マリーナ・アブラモヴィッチによるパフォーマンス作品で、《リズム10》《リズム5》《リズム2》《リズム4》に続くシリーズの一環としてイタリアのナポリで上演された。パフォーマンスに際して次のようなインストラクションが提示された。「テーブルの上に72個の物体があります、人は望むままに私の体の上でそれを使うことができます。私は物体です。この上演中、私はすべての責任を負います」。テーブルには大小の鎖、ベルト、鞭、鳥の羽でできたはたき、ロウソク、拳銃などが置いてあった。このアクションは6時間続き、アブラモヴィッチは観客によって上半身が脱がされ、手にはポラロイド写真を握らされ、乳房に薔薇の花びらが貼られ、腹には赤い色で文字が書かれた。最後に、アブラモヴィッチが客体(物体)の状態から主体へ戻り観客に向かって歩き出すと、観客は怯えて、会場から逃げ出した。ホテルに帰った彼女の髪の一部は恐怖のあまり白髪になったと言われている。オノ・ヨーコの《カット・ピース》(1964)を徹底的に過激にしたようなこの作品は、パフォーマーと観客との関係をむき出しにした。観客が得た快楽とパフォーマーが受けた恐怖は比例しており、いわば「ゼロサム・ゲーム」のような関係をもつことが示された。本作のほか、彼女はパフォーマンス作品を通して、暴力と身体との関係、見る者と見られる者との関係へ向けた問いを投げかけ続けている。

著者: 木村覚

参考文献

  • Marine Abramović, Kristine Stiles, Klaus Biesenbach and Chrissie Iles, Phaidon, 2008

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