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復元/復原

Restoration

建造物にかつての姿を取り戻させること。「復元」と「復原」という二つの言葉は、一般的な辞書では区別されることなく同一の見出しとして扱われ「元の状態・位置に戻すこと」と書かれてあり、意味的には同じことになっている。しかし建築分野の領域においては、復元とは失われて消えてしまったものを、かつての姿どおりに新たに作ることをいい、復原とは始めの姿が改造されたり、変化してしまった現状を元の姿に戻すことをいう。例えば《東京駅》の修復工事は「復原工事」であり、1968年に解体された建物を再現した《三菱一号館》は「復元」とされている。時代を経て修復をくり返しながら使われてきた建物を復原、または復元する際は、どの時代の姿に戻すのかがしばしば問題となる。《東京駅》の場合、建設された14年の姿に戻すか、空爆で破壊された後に修復した47年の姿にするかが問われた。これは城や寺社仏閣のように火事で失われても何度も同じ場所で建てられてきた文化財などで特に議論される。また、当初の形態を正しく把握しないまま憶測で元の姿に戻した際、歴史上存在しなかった姿になったり、その時点以降の文化の形跡を破壊するようなことにならないか注意する必要がある。

著者: 立石龍壽(大阪市立大学倉方研究室)

参考文献

  • 『復元思想の社会史』, 鈴木博之, 建築資料研究社, 2006
  • 『建築史学』1994年9月号, 「文化財『復原』無用論 歴史学研究の観点から」, 山岸常人, 建築史学会

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