SNOWSCAPE MOEREIII
スノースケープ モエレIII |
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北海道/鎌田享(北海道立近代美術館) |
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冬の札幌は寒くて白い。いや、本当に。試しにテレビで全国の天気予報をご覧下さい。日中の気温のところには、たいてい「−」という記号がついています。最高気温がマイナスって……。そして天気図には「雪だるま」がいっぱい。今日もだるま、明日もだるま……。まあそれは大げさにしても、街は一面、白銀の世界に転じます。年明け前には、雪が少ないな〜と思っていたのですが、心配することなかれ1月も半ばになると連日の雪ですっかりいつもの年の札幌になりました。
そんな札幌の冬を彩るイヴェントといえば、毎年2月上旬に行なわれる「さっぽろ雪まつり」。今年は2月5日(火)から11日(月・祝)まで開催されます。メイン会場となる市内中心部の大通公園は、高さ15メートル幅30メートルを超える大雪像から、市民のみなさんが作った小型の雪像(といっても高さ2メートルはあります)まで、数々の雪の造形物で飾られます。「雪」という身近な材料を使ってなにかのかたちを作りたいと思うことは、自然な欲求なのでしょうか。そういえばどこかで、夏場に海辺で砂像をつくるというコンクールもあったような気が……。
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上:SNOWSCAPE MOEREIII(2008年)制作風景。西山仁によるスノードーム。直径8メートルと直径6メートルの2つのドーム。中はカフェになります
上中:西山仁《Artificial Cave》
下中:高臣大介《雪とgla_gla》
下:上西晴奈+伊藤隆弘《SKELETON SCAPE MOERE》
以上3点、SNOWSCAPE MOEREII(2007)より |
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さて「雪まつり」と前後して、札幌市北東部のモエレ沼公園では1月30日(水)から2月3日(日)まで「SNOWSCAPE
MOEREIII」というアートイヴェントが開催されています。以前このコーナーでもご紹介しましたが「モエレ沼公園」は、彫刻家イサム・ノグチが設計に関わったもの。雪降り積もるそのモエレ沼公園を舞台に行なわれるこのイヴェントは2006年にスタートし、今年で3回目を迎えます。サイトスペシフィックなインスタレーション、ダンスやミュージックのステージ・パフォーマンス、国内外からゲストを招いてのフォーラムなどを繰り広げるというものです。
イヴェントのコアとなるのは、「Snow Village Project」。公園の一角に、雪を建材にして「村」をつくろうというものです。今回は神奈川県在住のアーティスト西山仁の設計・リードにより、直径8メートルと6メートルの二つの雪のドームを組み合わせたスペースを制作、会期中はカフェとして運営されます。巨大な「かまくら」といった様相をみせるこのプロジェクトの進捗状況は公式ブログでもごらんいただけますのでぜひどうぞ。
「Village」ではまた、公募を経て選出された9組のアーティストによるプロジェクトも行なわれます。遠藤歌奈子によるショップを模したブース《カナコの札幌モエレ情報発信センター》、大黒淳一によるサウンド・インスタレーション《White Ambient》、昨年に引き続き行なわれるガラス作家・高臣大介の屋外インスタレーション《雪とgla_gla》、女性6人によるユニットU-21によるパフォーマンス・イヴェント《ゆきうさぎとあそぼう》、公園内にある標高50メートルのモエレ山山頂に雪の小屋を作る《モエレ山荘》などなど、多彩なプログラムが行なわれます。
またモエレ沼公園のシンボル施設・ガラスのピラミッドでは、これまでの「SNOWSCAP MOERE」の歩みを写真や映像資料で振り返る企画「SSM Archives」を開催。屋外ですっかり冷えきった身体を暖めることもできます。
雪なしには考えられない冬の札幌、北海道。そんな北国ならではの環境を、このイヴェントはアートを通じて再認識させてくれます。そしてアートは、もっと身近なものになりうるし、人々を楽しませることもできるということも……。でも、とにかくシバレルけどね。 |
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