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プライバシーステートメント
展覧会レビュー
小吹隆文/福住廉
7/21-7/26
現代「日本画」の展望ー内と外のあいだでー
6/10〜7/30 和歌山県立近代美術館[和歌山]
現代「日本画」の展望
練馬区立美術館の館蔵品を中心に日本画の現況を探ろうとする企画。展示構成は、まず戦後日本画史をなぞり、中盤以降は近年の作品に移るのだが、圧巻はやはり中盤以降。武田州佐の《GLOBE 光・429》など大スケールの作品や、水面に映る模様を抽象化させた北村さゆりの《water──薫る木立》など、旧来の「日本画」イメージではくくれない作品が多数出品されている。近年、ジャンルとしての「日本画」を巡る議論が起こっているが、本展を見ればそれも納得というものだ。同時に、いわゆる「現代アート」が引きこもりの傾向を続けるなか、本展出品作の大作志向は真逆の方向性を示しており、その相関関係や如何に?と新たな疑問が湧いてきた。
[7月21日(木) 小吹隆文]
藤原勉写真展 靄ノ街
7/21〜23 BEATS GALLERY[大阪]
藤原勉写真展
大阪・東成区や城東区といえば、典型的な下町エリア。低層建築が密集し、上空には電線が縦横に走っている。そんな風景を一歩引いた視線で捉えたのが藤原の作品だ。タイトルの「靄(もや)」とは、印画紙上の風景と肉眼で見る風景との差異から思いついた言葉らしい。人気のない風景からは、午後の下町が醸し出すダルな気配が滲み出ている。アジェが21世紀の大阪で撮ったらこうなるのかな、とも思った。
[7月23日(日) 小吹隆文]
羽良多平吉 未来のイヴ展
7/12〜30 iTohen[大阪]
羽良多平吉
数々の書籍ADを担当し、ミュージシャンのアートワークでも知られる羽良多平吉の関西初個展。ヴェリエ・ド・リダランの著作『未来のイヴ』にインスパイアされたもので、活版を用いた版画の連作、画像や文字をインクジェットで出力した平面作品などが出品されていた。なかでも活版の連作は文字と模様と自由な線のアンサンブルが美しく、図形楽譜を思わせる一面も。また、オリジナル音楽や美濃和紙を使った照明も使われており、小規模ながら非常に緻密な展覧会に仕上げられていたのが印象深い。
[7月23日(日) 小吹隆文]
谷口順子展
7/24〜8/5 キュービックギャラリー[大阪]
谷口順子展
これまで鮮やかなタッチの線による空間作りを得意としてきた谷口だが、今回の作品は大胆にモデルチェンジ。薄く溶いた絵具をキャンバスに流し込み、キャンバスを動かして、流動的な色彩による生命感溢れる絵画空間を作り出している。得意な筆さばきを敢えて封じ、逆にこれまで意識的に制限していた色数を自由にしているのだが、この賭けは見事に成功したようだ。
[7月24日(月) 小吹隆文]
Lady SNOW 真夏の雪見 温;高井温子
7/25〜30 立体ギャラリー射手座[京都]
Lady SNOW
夏の森で、切り株に変身していた雪の精が正体を見破られ、要求に応えて雪を降らせようとしたが、夏なので雪が降らない。そこで、タンポポが気を利かせて綿毛の雪を降らせてくれましたとさ──こんなファンタジックな物語を元にしたインスタレーション。耽美的な作品を前に理屈云々は一瞬にして吹っ飛び、ただただ見入ってしまった。良質の現代アートであると同時に、華道としても批評の対象になる作品ではないかとも感じた。
[7月26日(水) 小吹隆文]
Index
7/21-7/26
現代「日本画」の展望
藤原勉写真展
羽良多平吉
谷口順子展
Lady SNOW
7/27-7/28
山本竜基
画廊からの発言
ハンアンギャラリー
金子潤展
8/2-8/7
日本×画展
若冲と江戸絵画展
岡村桂三郎
集積と痕跡の彼方から
角文平展
8/7-8/12
技法考察
松山広視
混沌から躍り出る星たち
アルベルト・ジャコメッティ展
8/12-8/19
原田和男
便利堂コロタイプ工房展
イサム・ノグチ展
嘉納洋平
須田悦弘展
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