小吹隆文/福住廉 |
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8/12-8/19 |
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原田和男《ΣΙΔΕΡΟ ΗΧΟΣ(シデロ イホス)》−鉄の響−
7/22〜11/9 兵庫県立美術館[兵庫] |
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兵庫県立美術館が毎年開催している『美術の中のかたちー手で見る造形』は、普段は接触禁止の美術作品を手で触って鑑賞できるユニークな展覧会だ。今年は原田和男の音響彫刻を紹介。一見機械の部品のような作品は、揺らしたり叩いたり回したりすると思いがけない音を発する。観客が思い思いに鳴らす音は当然無秩序なのだが、チャンスオペレーションを思わせる一瞬があるから面白い。展示室を越えロビーにまで響き渡る音響が、日頃静謐な美術館を満たしていくのも印象的だった。
[8月12日(土) 小吹隆文] |
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便利堂コロタイプ工房展 ー作家表現と文化財の伝承ー
8/4〜27 shin-bi[京都] |
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約150年前にフランスで開発された印画技法「コロタイプ」を日本で唯一継承する京都の便利堂。同社が作ったアート作品や文化財の複製品と、製作過程を示す資料が出品されていた。コロタイプを非常に簡単に説明すると、写真に近い画質で複製が取れる印刷術といった所。実際、植田正治や森村泰昌作品の複製を見ると、その仕上がりの美しさに驚かされる。「京都って、やっぱり奥が深いなー」と素直に感心してしまった。
[8月13日(日) 小吹隆文] |
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イサム・ノグチ展 世界とつながる彫刻
7/8〜9/18 滋賀県立近代美術館[滋賀] |
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約70点の作品を「顔」「神話・民族」「コミュニティーのために」「太陽」の 4部門に分類して紹介。マーサ・グラハムのためのオリジナル舞台セットの日 本初公開が目玉になっていた。その舞台セットをはじめとする1960年代までの 作品で印象深いのは、未来的なフォルムと古代文明的なバーバリズムが交互に 表出する点。同時代の造形──例えば、国立京都国際会館に代表される建築や 手塚治虫の漫画など──とも相通ずる所が感じられる。イサムノグチの作品を 通して20世紀中盤の造形的特質に思いを馳せた1日だった。
[8月17日(木) 小吹隆文] |
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嘉納洋平
8/14〜8/20 トキ・アートスペース[東京] |
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シンドラー製のエレベーターの写真。コインロッカーの鍵を閉め、その鍵をとなりのロッカーに放り込む動作を次々と繰り返していく映像。そして、サラリーマンの恰好でフリークライミングに挑み、トップでつかみ取るのが電車のつり革という映像。全体的に日本社会の円環的な構造を風刺するニュアンスが強いけれども、作家本人がピエロに徹しているので十分に笑える。
[8月19日(土) 福住廉] |
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須田悦弘展
7/16〜10/1 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館[香川] |
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会場に入ってまずビックリ。作品がどこにも無い! というのは嘘で、床と壁 の隙間に小さな雑草の木彫が点々と配置されている。お客さんが皆腰をかがめ て床の隅を凝視している様子は、なんとも不思議な眺めだ。一通り作品を見終 わると、今度は会場のことが気になってきた。壁の色、床の色、材質、天窓か らスリット越しに漏れてくる日光。いずれも普段は余白として見過ごしてきた ものばかり。本展の主役は作品ではなく、実は展示室そのものだったのかと、 その時初めて気付いた 。
[8月19日(土) 小吹隆文] |
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