村田真/原久子 |
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11/15〜11/17 |
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ルソーの見た夢、ルソーに見る夢
10/7〜12/10 世田谷美術館[東京] |
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開館20周年記念にしてはショボイなあ。期待はずれ。ルソーのちゃんとした作品がもっと見られるのではないかと思ったのに、国内からかき集めた小品ばかり。今年は欧米で大規模なルソー展が巡回したこともあって、海外のめぼしい作品は借りられなかったようだ。むしろルソーの影響を受けた日本の画家のほうがおもしろい。藤田嗣治、岡鹿之助、松本竣介、土田麦僊、加山又造、植田正治、横尾忠則まで入ってる。しかし、そもそもルソーごとき美術史の傍流にこれほど影響を受けること自体、日本の美術の問題点ではないかしら。
[11月15日(水) 村田真] |
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空間に生きる──日本のパブリックアート
11/5〜12/24 世田谷美術館[東京] |
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丹下健三による広島平和記念公園(1949-54)から半世紀におよぶ日本のパブリックアートを、写真、マケット、図面などで紹介。初めはお決まりの宇部、須磨といった野外彫刻展や彫刻の森美術館などが続いて退屈だが、やがて荒川修作らの《養老天命反転地》、越後妻有の「大地の芸術祭」、たほりつこ《注文の多い楽農店》が出てきておもしろくなる。東京都のゴミ処分場建設に反対するためにつくられ、強制収用によって破壊された若林奮《緑の森の一角獣座》も紹介されているので驚いた。そこまでやるなら、日本における「パブリック」の概念について、あるいはパブリックアートの「パブリック」の意味について、もう少し突っ込んでほしかった。もっといっちゃえば、美術館を必要としないパブリックアートをなぜ美術館でフォローする必要があるのか、そもそもパブリックであるはずの美術館にある作品がなぜパブリックアートと呼ばれないのか、明らかにしてほしかった。まあ今回は最初のパブリックアート展てことで、勘弁したるわ。
[11月15日(水) 村田真] |
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土と色 ひびきあう世界
11/15〜19 世田谷美術館区民ギャラリー[東京] |
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いわゆるアウトサイダー・アート展。土は陶、色は絵のこと。絵はともかく、なぜ日本ではアウトサイダー・アートというと彫刻ではなく陶なのか。安全で経済的という実利的な理由か、それともほかに理由があるのだろうか。
[11月15日(水) 村田真] |
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日豪写真交流展 まなざしの交換 ポール・ナイト展
11/14〜25 The Third Gallery Aya[大阪] |
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日本では初めての発表となるメルボルン在住作家ポール・ナイト。インターネット上など既存にあるイメージを再構築するような手法でつくり出す写真。もちろんそれだけではないのだが。長く誰もいない風景や室内の空っぽな状態を撮っていたが、最近では人物に焦点をあてて作品制作をしている。空間、人と人との間に浮かび上がってくるものは、撮影対象が変化しても作家としては写真に撮そうとするものはあまり変わっていないのだという。空っぽの部屋の写真をはじめてみたとき、米田知子の作品に通じるものを少し感じたのだが、いろいろと観ていくとそうではなかった。
[11月15日(水) 原久子] |
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日展
11/2〜24 東京都美術館[東京] |
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恒例の日展見物。まず日本画から。あいかわらずどれもこれも似たり寄ったりで、サイズもほとんど同じせいか印象に残る作品がない。たしかにヘタな作品は少なく、一定のレベルは保たれているものの、飛び抜けて輝く作品も見当たらない。みんな足並みを乱さないように牽制しあってるんだろうか、それとも1点だけ飛び抜けたのがあったら、観客が足を止めて渋滞を起こすから落とされたんだろうか。まさかね。次、洋画。こちらは日本画よりサイズがひとまわり小さいので2段掛けになっている。そのせいかどうか、額縁が日本画よりバリエーションに富んでいて、せめて額縁で勝負しようという意気込みが伝わってくる。中身は日本画とほとんど変わりないのが笑えるが、よく見ると、意外なことに、日本画のほうが現代的または社会的テーマをあつかった作品が多いような気がする。洋画に多いのはピエロの人形とかオウム貝とかヴァイオリンとかいった時代錯誤のモチーフであり、それらが置かれている自分のアトリエ風景であり、要するに内向きなのだ。また、洋画の代名詞ともいうべきヌードがきわめて少ないのも日展の七不思議。決して日展がヌードを敬遠しているわけでないことは、日本画には洋画以上にヌードが多いことからも明らかだ。きわめつけは彫刻で、出品作の9割9分が人体、その6割が女性ヌードで占められているのだ。会期後、これらヌードのかたまりはどこへ運ばれちゃうんだろう?
[11月16日(木) 村田真] |
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大エルミタージュ美術館展
10/19〜12/24 東京都美術館[東京] |
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資金難のせいか、毎年のように日本巡業を繰り返すエルミタージュ美術館。いっそ美術館ごと日本が買っちゃえばいいのに、という話は前にも書いた気がする。今回は日展の口直しにと思いあとまわしにしたが、なんの特徴も工夫も感じられない凡庸な展覧会で口直しにもならなかった。なのにこの混雑ぶりは、ぼくと同じく日展とかけもちしようとのコンタンからか。
[11月16日(木) 村田真] |
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ユニヴァーシティ・ミュージアム合同展
11/4〜12/17 東京芸術大学大学美術館[東京] |
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国立大学の付属博物館を集めたユニバーシアード、という発想はおもしろいのだが、出品物件が貧弱。北海道大学総合博物館の恐竜の骨格復元、岩手大学ミュージアムの巨大な馬の腸石、九州大学総合研究博物館の古代日本人の人骨などは見ごたえがあるものの、どこのとはいわないけれど初代学長の銅像とか乾燥させた朝鮮人参とか出されてもねえ……。やる気がないのか、そもそもろくなコレクションがないのか。
[11月16日(木) 村田真]
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タリエ
11/16〜26 新港埠頭特設会場[神奈川] |
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イプセン没後100年記念イベントだそうで、イプセン原作の復讐物語「タリエ・ヴィーゲン」を、5面スクリーンの映像とダンス、そして伊武雅刀の語りによって繰り広げるマルチメディアパフォーマンス。なのだが、伊武の語りが始まると、ストーリーを追うことに集中し、映像もダンスも単なる飾りでしかなくなる、というか、むしろ邪魔なノイズになってしまうのだ。ふだんわれわれは外界の情報の90パーセントを視覚から得ているといわれるが、ここでは逆転して、聴覚情報が90パーセントを占めることになった。つまり、映像とダンスは蛇足だったってことですね。でも日本語を知らない人が見たら、きっと映像とダンスのパフォーマンスとして楽しめたでしょう。
[11月17日(金) 村田真] |
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