小吹隆文/福住廉 |
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12/26〜1/9 |
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日曜美術館30年展
12/13〜1/21 京都文化博物館[京都] |
《日曜美術館》といえば、言わずと知れたNHK教育テレビの長寿番組。会場には番組で紹介された美術作品が多数展示されており、良い意味で非常に分かりやすい名品展になっていた。また、会場内ではモニターによる過去のプログラム上映も。今東光、野坂昭如、手塚治虫、白洲正子ら文化人がお気に入りの作品や美術家との思い出を語り、岡本太郎、加山又造、池田満寿夫ら美術家が自らの美術観を語る。私自身はむしろこちらの方が興味深く、長時間にわたり見入ってしまった。図録にもさまざまなコメントが紹介されており、読み物として楽しんだ。
[12月26日(火)小吹隆文] |
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中川雅文展
1/8〜20 ギャラリーDen[大阪] |
さまざまな地域・時代の建物、乗り物、人、動物、自然、星空などが複雑極まりない構図の中にギッシリ詰め込まれている。まるで作者の脳内を覗き込んでいるようだ。中川は日頃出合った小さな驚きや感動をスケッチやメモで描きとめ、それらを即興的に組み合わせながら、今回の森羅万象的絵画作品を作り上げた。しかも出品された大小23点がインスタレーションを形成し、互いに響き合っているのだ。万華鏡のように乱反射するイメージの奔流に飲み込まれ、心地よい幻惑を味わった。
[1月8日(月)小吹隆文] |
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日下部一司展
1/8〜20 Oギャラリーeyes[大阪] |
ネットオークションなどで仕入れた骨董品に、ほんの少しだけ手を加えたレディメイド作品などを出品。例えば、口を和紙でふさいだお椀、何も支えない棚受け、デュシャンの《瓶乾燥機》を連想させる五徳(囲炉裏や火鉢で用いる鉄瓶などを乗せる器具)など。作品にはレディメイドの価値観と、骨董品が放つ物としてのオーラ、古来日本人が親しんできた見立ての精神が重なりながら同居している。その不思議な佇まいは日下部作品だけのものであり、同時に極めて日本的な現代アートの佇まいだとも思う。
[1月8日(月)小吹隆文] |
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戦争と芸術 美の恐怖と幻影
1/10〜2/2 ギャルリ・オーブ[京都] |
戦争がテーマの催しと言えば、とかくイデオロギーに偏ったりパターン化した思考に陥りがちだが、本展では敢えて一歩引いた視点から戦争と芸術の関係性に迫ろうとする意図が感じられ、新鮮さを感じた。持てる芸術性を戦争画に注ぎ込んだ藤田嗣治の《南昌新飛行場襲撃》と浦上天主堂の被爆品が同居しているのはまさにその表われである。戦争が悲惨かつ不条理極まりない出来事だが、同時に美の源泉にもなりうる。その事実を改めて実感した。なかでも、あるロケーションに潜む美と歴史と恐怖をデンジャラスな甘美さをもってあぶり出した杉本博司の3点は、本展の意図を明確に体言していた。
[1月9日(火)小吹隆文] |
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