小吹隆文/福住廉 |
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2/27〜3/3 |
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原田依紗帆 膨らむ憎悪と強気のマスターベーション
2/27〜3/4 ギャラリー16[京都] |
ハローキティやくまのプーさんなどの有名キャラクター人形を大量に縫い合わせて、モンスターのような造形へと転化させている。今やわれわれの価値観へも影響を与える「キャラクター」への興味と違和感に根差した表現だ。断片化されてもアイデンティティを失わない強固なデザインはさすがだが、一方で軽い恐怖も感じてしまう。現代社会の隅々に浸透した彼らの存在は、見た目の可愛いさとは裏腹に実はヘビーなものを抱えているようだ。
[2月27日 小吹隆文] |
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北本裕二展
2/27〜3/4 ギャラリーはねうさぎ[京都] |
1年前の個展で、薄い陶板を画廊の床に敷き詰め、観客に踏まれて粒子に還元する様を見せた北本。今年の新作では、昨年の個展などで生まれた粒子を素材に、新作の陶オブジェを発表した。粒子を水に混ぜ、木枠に流し込んでは突き固める作業を繰り返し、木枠ごと窯に入れて焼き上げる。結果生まれたのは、砂漠の廃墟を思わせる悠久のスケール感を持った作品だ。素材をリサイクルし、作品として輪廻転生させる。その発想を評価したい。
[2月27日 小吹隆文] |
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大阪・アート・カレイドスコープ2007「大大阪にあいたい。」
3/1〜21 大阪府立現代美術センターなど市内16ヵ所[大阪] |
過去3回は地元からプロデューサーを迎えていた同展だが、今回は北川フラムを招聘。越後妻有のノウハウを移植するかたちで、アートを街中に落とし込む戦略が取られた。市内に点在する会場は、大正〜昭和初期、大阪が大大阪(だいおおさか)と呼ばれ繁栄した時期に建てられたモダン建築がほとんど。よって本展では建築や街を体感することも重要なテーマになっている。その目論見が果たされたのは、フェリチェ・ヴァリーニが出品した大阪府庁舎本館と大阪証券取引所ビル、山崎龍一、石塚沙矢香、Alien Strings、武内貴子が出品した芝川ビル、平丸陽子がインスタレーションを施した源聖寺。作品と展示空間がお互いを引き立てあう、美しい空間が実現された。一方、街並みに埋もれたり、魅力が感じられない展示も散見。企業社屋や業界のクラブ施設、民家等では外壁等一部の使用に止まるケースがあったためだ。新たな試みには相応の時間が必要だが、今回は工程全体に時間の無さが感じられた。アートと街を結びつけるテーマが魅力的なだけに、運営上の動きの鈍さが残念でならない。
[3月1日 小吹隆文] |
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木村秀樹展
2/24〜3/10 イムラアートギャラリー[京都] |
版画家として知られる木村だが、今回の出品作は大型のタブロー。スキージーを多用し、濃いブルーと半透明の白によるレイヤー構造の空間を出現させている。下層のブルーが研磨され象嵌のような質感を持つのに対し、上層の白は生々しい絵具のしたたりが残されており、その対比が鮮やか。木村らしいクールで硬質な魅力に満ちた出来栄えとなった。2階には珍しいガラス絵も出品され、こちらも異彩を放っていた。
[3月3日 小吹隆文] |
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山中現 新作展
2/23〜3/17 ギャルリー宮脇[京都] |
柔らかなラインの幾何学的形態と、モノトーンやベージュ系の落ち着いた色彩が特徴の多色刷木版画。形態と色彩が絶妙のバランスで配され、良質の室内楽のような世界を作り出す。限定されたモチーフから広がりある世界をつむぎだすという点では、俳句との共通性も感じた。版画23点とともに絵画の小品6点も出品されていたが、やはり版画に一日の長がある。
[3月3日 小吹隆文] |
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