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プライバシーステートメント
展覧会レビュー
小吹隆文/福住廉
3/14〜3/17
中村宏小品展
2/24〜4/15 練馬区立美術館[東京]
東京都現代美術館での回顧展とほぼ同時期に催された中村宏の展覧会。作家本人から寄贈された小品60点あまりを展示している。埴谷雄高対話集『架空と現実』の表紙の色見本や雑誌『現代詩手帖』の表紙絵など、都現美には出品されなかった作品を数多く見ることができる。とりわけ鮮烈な印象を残すのが、《一対の緊束具》(1971)だ。二つの幼児用の緊束具を描いたこの作品には、深い青色の背景にぼんやりと浮かぶ幼児の頭部が描かれている一方で、拘束されるべき身体が描かれていない。機能の対象を失った緊束具と不在の身体とが、拘束する側と拘束される側双方にとっての空虚感を醸し出していた。
[3月14日 福住廉]
平久弥展──subway series 2007
3/13〜31 ヨシアキイノウエギャラリー[大阪]
平久弥展──subway series 2007
主に東京の地下鉄駅を描いたスーパーリアリズム絵画。パースペクティブの強調や周囲が映り込む金属部分、ツルリとしたタイルの描写に、作者の並々ならぬこだわりを感じた。おそらく早朝に取材したのであろう。人影はまばらである。人間という夾雑物が希薄な空間には静謐な空気が満ちており、都市のもうひとつの顔を際立たせてくれる。
[3月17日 小吹隆文]
平成17-18年度文化庁買上優秀美術作品披露展
3/13〜3/25 日本芸術院会館[東京]
文字どおり、文化庁が買い上げた美術作品を披露する展覧会。公立美術館の学芸員や国公立の大学教員など7名の選考委員によって選出された13名の作品が展示された。隣接する上野の森美術館で催されていた『VOCA』展も同じような専門家によって選び出されているが、『VOCA』展より小規模だとはいえ、個々の作品の見応えはこちらのほうに軍配が上がる。
なかでも、フジテレビ本社や東京ビッグサイトなどの建造物と一体化した戦艦が東京湾を突き進む光景を木版画で描いた風間サチコや、同じく版画で腐敗した老婦人を描き出した池田俊彦、日本画の技法を利用しながら現代日本の奇景を描写した三瀬夏之介、鉄の正立方体を延々と叩きのめすことによって内部の潜在力を顕在化させた多和圭三が目を引いた。彼らの作品には、多かれ少なかれ、ほとんど暴力的といっていいほどの暗い動因が見出せるが、このような作品を買い上げる目利きの点に限っていえば、全般的な傾向として毒にも薬にもならないような平面作品をそろえた『VOCA』展よりも、選考者の質は優れているといえそうだ。
ただし、選考の基準や理由を説明するテキストがまったく公表されていない点は、不十分といわざるをえない。数あるなかから選び出すには、それなりの根拠があるはずなのだから、評論とはいわないまでも、一言でもいいので作品のすぐれた点を表明すべきだろう。文章の良し悪しは別として、まがりなりにも講評所感のような短文を発表している『VOCA』展は、選考することの責任をいちおう果たしている。
ちなみに、買い上げられた作品の処遇が気になったので、文化庁に電話で問い合わせてみたところ、これらの作品は文化庁の所管として保存されることになるが、今後どこかの国公立美術館で公開される予定はとくにないという(担当者いわく、買い上げ価格も公表していないが、その価格は一般的な市場価格とは異なり、「文化庁独自の基準」によるそうだ)。この制度は「美術家の創作意欲を高める」ことを主要な目的にしているとはいえ、そのことによって「美術の振興」をはかるのであれば、コレクションを倉庫に眠らせておくのはあまりにももったいない。全国各地に無償で貸し出すなどして広く一般に公開し、鑑賞者に還元していくのが筋だろう。

[3月17日 福住廉]
Index
2/20〜2/25
佐藤健博展「Location」
夏への扉 マイクロポップの時代
ウチナル音〜身体音からの造形〜
須田一政 OKINAWA
2/27〜3/3
原田依紗帆 膨らむ憎悪と強気のマスターベーション
北本裕二展
大阪・アート・カレイドスコープ2007「大大阪に会いたい。」
木村秀樹展
山中現 新作展
3/5〜3/6
加藤つくし展
栗田咲子展
岡野香織展
首藤枝美:日本の美術展
城戸孝充展
3/13
ブレーメン・アート・サテライト「正しい答がひとつとは限らない」
小池歩展「おきにいり」
だれも知らなかったアルフレッド・ウォリス──ある絵描きの物語
3/14〜3/17
中村宏小品展
平久弥展──subway series 2007
平成17-18年度文化庁買上優秀美術作品披露展
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