小吹隆文/福住廉 |
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4/23〜5/19 |
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岡田久美子個展
4/28〜5/9 ギャラリー島田[兵庫] |
《赤い庭》《叢林》と題されたシリーズは、それぞれ表面が赤と黄色で覆われた瞑想的な抽象絵画。どちらも薄く溶いた絵具で複数の色面を何度も塗り重ねて作った作品である。興味深いのは、色彩と空間の関係性。《赤い庭》が焦点∞(無限大)なのに対し、《叢林》は足元近くの地面を見て描いたかのようだ。色使いひとつで空間を自在に作り出すテクニックに感心した。岡田は色彩に関して、音楽における調性のようなセンスを持っているのかもしれない。
[4月28日(土) 小吹隆文] |
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池袋モンパルナスの作家たち
3/17〜5/6 板橋区立美術館[東京] |
「池袋モンパルナス」とは、現在の東京・池袋西口近辺を指す造語で、ここに1930年前後から建てられたアトリエ付きのアパートに若い絵描きたちが集まっていたという。麻生三郎や寺田政明、松本俊介、古沢岩美、難波田龍起、福沢一郎、山下菊二、高山良策、桂川寛といった日本の前衛絵画を模索してきた面々が、入れ替わり立ち替わり、このエリアを拠点に作品を制作していたそうだ。同館所蔵作品のなかから選定された、およそ80点あまりの作品を見ていくと、彼らがキュビズムやシュルレアリスムなどの西洋近代絵画の影響を受けながら、独自の芸術表現を追及してきた軌跡を追うことができる。
[5月2日(水) 福住廉] |
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佐藤貢展 ワルツ
5/2〜27 iTohen[大阪] |
和歌山市の海岸近くに住み、浜辺や道路で拾ったジャンクを素材にオブジェを作り上げる佐藤貢。その作品は一見ティンゲリーとの関連を思わせるが、彼自身はティンゲリーはおろか現代アートについてもさほど知識を持たない。大阪での過去2度の個展が大成功を収め、東京、名古屋でも発表の機会を得るようになった佐藤だが、ここに来て自分のイメージが固まる危惧から一種の冒険に打って出た。新作のポイントはオブジェ&音楽。多数のスピーカーを組み込んだオブジェから自作のノイズ音楽が流れ、オブジェ自体も共振して音を発している。大竹伸朗の《ダブ平&ニューシャネル》ほど暴力的ではなく、むしろ詩的な感興を覚えるジャンク彫刻。佐藤の世界は、“前向きな裏切り”によりさらに一歩前進した。
[5月3日(木) 小吹隆文] |
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河合晋平展──Deeper Underground
5/7〜25 フェニーチェ画廊[大阪] |
河合晋平は、パンやパスタ等を土台に樹脂をコーティングして、軟体動物を思わせる架空の生物を作り出している。彼の非凡さは、単なるオブジェ作りに止まらず、それらを分類・同定して一種の擬似生態系を創造する点にある。本展では初めてインスタレーションを制作。これまでの標本的展示から一歩踏み出し、環境も含めた世界全体の構築という新たな段階に入った。ひとつのステージを越えた彼の今後の飛躍が楽しみだ。
[5月7日(月) 小吹隆文] |
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