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展覧会レビュー
小吹隆文/福住廉
6/1〜6/8
若冲展
5/13〜6/3 相国寺承天閣美術館[京都]
若冲展
相国寺所蔵の《釈迦三尊像》3幅と宮内庁所蔵の《動植綵絵》30幅が約120年ぶりに揃うとあって、大きな話題を呼んだ本展。大混雑の噂を聞き諦めモードだった私だが、知人らがこぞって賞賛するのを聞き、遅ればせながら馳せ参じた。それにしてもラッシュアワーのような混みよう。しかも老人率が異様に高い。若冲っていつからこんなに老人ファンが増えたんだ!? 私は開館直後に到着したので約1時間待ちで済んだが、帰りに入場待ちの行列を見ると「100分待ち」の看板が。さすがに100分は待ちきれないかも。早起きしといて良かった。展覧会は2室で構成されたが、圧巻はやはり全33幅が並ぶ第2展示室。圧巻、荘厳とはまさにこのこと。《動植綵絵》の色彩が120年前の品とは思えないほど鮮やかなことにも驚かされた。余談だが、本展ではホームページ上で入場待ち時間がライブ表示されていたが、これは非常に便利なので、他の展覧会でも普及させてほしい。肝心の作品以外でも驚かされることの多い一日だった。
[6月1日(金) 小吹隆文]
見果てぬ夢──日本近代画家の絶筆
5/29〜7/8 兵庫県立美術館[兵庫]
見果てぬ夢ー日本近代画家の絶筆
絶筆といっても、描きかけのもの、最後に出展したもの、推定のものなど、その根拠は曖昧らしい。本展では絶筆の確定よりも背後のドラマにポイントが絞られていた。つまり、芸術家が最後に到達した境地や如何に、ということ。表現よりもエピソードが主になるのは本末転倒かもしれないが、それゆえドラマチックな展覧会になったのも確かだ。また、私があまり知らない団体系の作家が多かったのも興味深かった。やはり現代アートだとドラマになりにくいのだろうか。
[6月1日(金) 小吹隆文]
第49回全国矯正展
6/1〜6/2 科学技術館[東京]
第49回全国矯正展
刑務所の受刑者たちによって生産された安くて高品質の商品を展示して即売する見本市。全国各地の刑務所ごとに、木工家具や洋裁、革製品、藍染、陶器から新鮮な野菜やパン、そして御神輿にいたるまで、ありとあらゆる暮らしの製品がそろい、破格の値段ということも手伝ってか、会場は老若男女の人びとでごった返していた。展示即売のほか、刑務所の矯正を広報するコーナーや模擬舎房の展示、さらには人気女性デュオの「Paix2(ペペ)」のライヴまで催され、祝祭的な雰囲気が演出されていた(初日のテープカットには仲間由紀恵が呼ばれたらしい)。会場設営やデザインの面でどうしてもお役所的なニュアンスが拭い去れないにせよ、陳列されている数々の造形物の出来映えはどれもすばらしい。伝統工芸の技が刑務所内で脈々と受け継がれていることをうかがわせていたが、そうすると塀の中で古典絵画の技術を伝承させることも原理的には可能なわけで、いつの日か「矯正絵画」を見てみたいものだと思った。
[6月2日(土) 福住廉]
倉谷拓朴──Myoukayama Photo Studio
6/4〜6/10 フタバ画廊[東京]
倉谷拓朴──Myoukayama Photo Studio
古今の遺影を集めた展示。会場では希望者の遺影をじっさいに撮影するサービスも行なわれた。被写体と遺族のあいだのきわめて個人的な関係性にもとづく写真であるせいか、そこには倉谷の写真家としての主体性が微塵も感じられず、被写体の死を象徴する写真でありながらも、いまや「撮るべきものが何もない」写真家の死を体現する、自己言及的な写真に見えた。
[6月6日(水) 福住廉]
裏・アートマップ2007
6/5〜24 京都芸術センター[京都]
裏・アートマップ2007
京都市内の画廊有志により行なわれる《KYOTO ART MAP》は、専用の地図を片手に画廊巡りするのが特徴だが、この裏ヴァージョンは逆に画廊が1カ所に集結する。画廊は敷居が高いという人には、こちらの方がずっと気楽だろう。二つの方式を1年ごとに使い分けるなんて、京都のギャラリストは気が利いている。さて肝心の中身だが、自動車内に熱帯雨林を作り出した國府理や、波線形の黒陶を多数吊ったインスタレーションのセバリー・セリーヌ、廊下の窓ガラスいっぱいに花のインスタレーションを展開したカセットプラント・ファクトリー(山口啓介の作品から派生)など、ヴァリエーション豊かなラインアップとなった。出品者数19名+3組と大所帯にもかかわらず、詰め込みにならなかった会場構成も上々。来年の表ヴァージョンに繋がる充実ぶりだった。
[6月6日(水) 小吹隆文]
鈴木涼子 ANIKORA–SEIFUKU/uniform
5/18〜6/7 ツァイト・フォト・サロン[東京]
鈴木涼子ANIKORA–SEIFUKU/uniform
したがって、写真家があくまでも写真家であろうとすれば、彼ないしは彼女の視線は他者に向けられるより先に、自己の身体を写真によって客体化する方向へ向かわざるをえない。制服を着用したアニメの身体にリアルな顔を合成した鈴木の写真作品は、そうした身体ですら、すでに肉体としての身体から情報や記号によって厚みを失ったグロテスクな身体に変容してしまっていることを如実に物語っていた。
[6月6日(水) 福住廉]
Index
5/28〜5/30
入江陽子展
山内裕美展
辻和美展──DailyLife
浅川あゆみ展──赤い双葉
ピンホール写真芸術学会設立記念特別展
平林幸壽
平田五郎 月を盗んだワタリガラス
6/1〜6/6
若冲展
見果てぬ夢──日本近代画家の絶筆
第49回全国矯正展
倉谷拓朴──Myoukayama Photo Studio
裏・アートマップ2007
鈴木涼子ANIKORA–SEIFUKU/uniform
6/7〜6/11
大西康明展「表裏の隙間」
水野亮 物置
風間サチコ
玉村升一展
6/16〜6/19
ダイアローグ コレクション活用術VOL.2
北城貴子展 Remain in Light
アートで候。会田誠 山口晃
開発好明 田中一展
小川陽──線香火によるドローイング
平山郁夫版画展──ユネスコ世界遺産活動支援
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