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プライバシーステートメント
展覧会レビュー
小吹隆文/福住廉
7/20〜7/23
ART in DOJIMA OSAKA 2007 
7/20〜22 堂島ホテル[大阪]
これまで湾岸エリアで行なわれていたアートフェアが、今年から会場を一転。大阪の中心部にある堂島ホテルでの開催となった。1室1画廊で展示する形式は、《ART@AGNES》と同様のもの。大作を出しづらいという制約はあったものの、日常に近い環境で作品を見られるのは顧客にとってはむしろ歓迎だったかも。動線が限られるためしばしば渋滞が起こったが、それも一種の景気付けになっていたように思う。個人的には画廊ごとの展示スタイルの違い──部屋の個性を生かすか、ホワイトキューブに近づけるか──が興味深かった。動員的にはまずまずの成功を収めたようだし、今後も続けてもらいたいものだ。何より、近年の関西アート界に欠けていた華やぎを取り戻したのが大きい。ここの所地味だったしね、関西。
[7月20日(金) 小吹隆文]
Chim↑Pom「オーマイゴッド」展
7/4〜8/11 無人島プロダクション[東京]
Chim↑Pom「オーマイゴッド」展
「スーパー☆ラット」展で話題を集めたChim↑Pomの2回目の個展。クマネズミをもとに組み立てた前回とは打って変わって、じつにバラエティに富んだ作品が展示されていた。夕刊紙のいかがわしい三行広告に「エロ♡キテル」という文字と携帯番号を掲載し、誰かからの着信の電波をもとに発電を試みる「性欲電気変換装置」や、いわゆる「オレオレ詐欺」のように、公衆電話から無作為に電話をかけ、しかし相手に金銭を要求するのではなく、こちらから相手に金銭を振り込むことを納得させようとする音声作品など、あまりにもバカバカしくて笑える作品が多い。そうかと思えば、都内で規制されているディーゼルエンジンの排ガスを、わざわざ規制外の山梨県で風船のなかに採取し、その排ガス入りの風船をいくつも都内に持ち込んで展示してみたり、東京ディズニーランドのスプラッシュ・マウンテンに戦時中の格好で乗り込み、急斜面を落下する瞬間を写真に収めた「バンザイ・クリフ」など、笑いのなかに環境問題や歴史問題を織り込む手際がすばらしい。東京にChim↑Pomがいて、ほんとうによかった。
[7月21日(土) 福住廉]
Game pedestal (warehouse): Taro Izumi | ゲーム台(倉):泉太郎
6/23〜7/21 Buro013 by hiromiyoshii[東京]
Game pedestal (warehouse): Taro Izumi | ゲーム台(倉):泉太郎
「マイクロポップ」展で秀逸な展示を見せた泉太郎の新作展。長らく使われていない廃墟のような乱雑な一室を、いつものように映像とドローイングで美しく構成し直した。画面の背景だけを動かすことによってキャラクターの動きを表現していた、レトロなテレビゲームをモチーフとした映像作品には、80年代前半のゲーム文化を内面化していた者の世代的共感を呼んでやまないが、それは同時に泉が興じている「ひとり遊び」が、決して特異な遊び方などではなく、むしろテレビゲームを通じて誰もが経験したことのある、きわめて原初的で根源的な遊びのありようであることを物語っている。ビデオカメラの映像に映ったなんでもない日常風景に泉のひとり笑いが重ねられている映像作品も、一見すると「うっふっふふふふふふふ!」という不気味な笑い声と一切笑いのない凡庸な風景がかみ合わないことから、常軌を逸した笑いの境地を垣間見せるが、これも日常的な事物にひとつひとつ突っ込みを入れては自分で笑うという「ひとり遊び」の様態だ。見続けていくうちに、泉の心の声が画面上に吹き出しとして描かれているような錯覚を覚えるのである。
[7月21日(土) 福住廉]
稲垣元則+mamoru 記憶違い──a lapse of memory 
7/23〜8/4 Oギャラリーeyes[大阪]
稲垣元則+mamoru
木々、波打ち際、女性の長い髪の映像が3台のモニターからランダムに映され、壁面に設置されたアタッチ式スピーカーからは日常音から採取された音が映像とは無関係に鳴っている。映像は各モニターごとに上映時間が異なり、さらに音響も加わるため同じ組み合わせになる可能性はほぼ皆無である。自分が見聞きしているものはなんなのか、把握しようにも全体像は見渡せず、振り返った時にはすでに別の世界が広がっている。なんとも寄る辺ない気持ちにさせられたが、記憶を手繰ろうと頭の中を掻き回す感覚は興味深いものがあった。 
[7月23日(月) 小吹隆文]
大森慈子個展 現場検証〜見過ごされた現実 
7/20〜25 AD&Aギャラリー[大阪]
大森慈子個展
ニュースや推理ドラマなどで見かける現場検証のシーンには、死体を示す白ラインの縁取りと、証拠品を示す三角形の看板がお約束。大森は虫の死骸を見つけると、ついつい現場検証してしまう。叩き潰された蚊、障子に挟まれ圧死したバッタ、路上に転がるさまざまな虫の死骸、そのどれもが彼女にとってはモチーフだ。なんともコミカル&ブラックな作品。そして、虫の死に対して文字通り虫けら扱いしていた自分にも気付かされる。 
[7月23日(月) 小吹隆文]
Index
7/20〜7/23
ART in DOJIMA OSAKA 2007 
Chim↑Pom「オーマイゴッド」展
Game pedestal (warehouse): Taro Izumi | ゲーム台(倉):泉太郎
稲垣元則+mamoru 記憶違い──a lapse of memory 
大森慈子個展 現場検証〜見過ごされた現実 
7/24〜7/28
勅使河原宏展──限りなき越境の軌跡
泉沢儒花×Tattaka展
耀樹孝鷺鶯 BILLY IN BERLIN 3
エルネスト・ネト展 
7/31〜8/6
岡田裕子 愛憎弁当
西野達
三木陽子 [Kitchen] 
カワイオカムラマ 
8/7〜8/12
ウィル・ローガン 奥村雄樹 everyday
冬耳展“flesh cluster” 
我が文明 グレイソン・ペリー展 
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