小吹隆文/福住廉 |
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2/9〜2/10 |
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村東剛 写真展 「おとちゃん」
2/6〜17 iTohen[大阪] |
約1年前から飼い始めたコザクラインコの「おとちゃん」をモチーフにした写真展。様々な姿を見せるおとちゃんは文句なく可愛く、鳥アレルギーの人以外はほぼ確実に魅了されるだろう。一方、美しい構図や繊細な諧調など写真表現としての見所もきっちり押さえられている。動物ファンから写真マニアまで、幅広い層が納得できるレンジの広さこそ本展の魅力である。
[2月9日(土) 小吹隆文] |
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名和晃平展 TORSO
2/9〜3/8 ノマル・プロジェクトスペース[大阪] |
発泡ポリウレタンを素材にした巨大な立体は、『六本木クロッシング2007』(森美術館)に出品された《Scum》シリーズの最新作。ナトリウムランプに照らされて美しい陰影を作っていた。別室の平面作品は、シルクスクリーンの技法を用いたドローイングとでも呼ぶべきもの。複数の大きさのドットにより形成されたフォルムが幾重にも重ねられたもので、整然と並んだ図柄と錯綜する図柄の2系統がある。タイトルにarray(配列)とfragment(断片化)という単語がそれぞれ付けられており、現代社会における身体の状態、もしくは彼なりの身体観を表わした作品らしい。
[2月9日(土) 小吹隆文] |
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細江英公 写真絵巻 「死の灰」
2/2〜10 杉並公会堂グランドサロン[東京] |
京都造形芸術大学で催された「戦争と芸術」展でも発表された写真絵巻は、写真家の細江英公が近年取り組んでいる手法。ポンペイやアウシュヴィッツ、広島・長崎などをモチーフとしたモノクロ写真が絵巻物のように横長の紙に焼きつけられ、短いテキストがメッセージとして添えられていた。通常の絵巻物と異なり、左から右に読み進めていく構成になっていたため、まるで時間の流れを逆行しながら人間という存在の哀しみを考えさせようとしているようだった。
[2月9日(土) 福住廉] |
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マーブル!!
2/8〜10 東京藝術大学千住キャンパス[東京] |
東京藝術大学音楽環境創造科の卒業・修了展。校舎の教室やホールを使って作品や卒論・修論が発表された。百花繚乱というべきか、玉石混交というべきか、じつにあまたの作品がひしめいていたが、とくに目を引いたのは、酒井幸菜、須藤崇規、菅絢子の3人。振付師・ダンサーとしてすでに活躍している酒井は、ダンスや演奏をまじえた公演を演出した。古典的な緊張型のダンスと現代的な弛緩型のダンスを織り交ぜ、しかも4人のダンサーそれぞれのキャラクターをはっきり色分けした構成は見事だった。須藤は暗室に閉じこもって修論をひたすらタイピングしながら、隣室に置かれたプリンタをとおしてリアルタイムで印字するというパフォーマンス作品を披露した。キーボードを打ちつける鈍い音が響くなか、次々と排出されてくる膨大な紙と文字の量が、修論という形式を作品という形式によって圧倒しようとする迫力を物語っていた。中庭に展示された菅の作品は、下町で暮らす無名の人びとをモチーフとした顔抜き看板だが、じっさいに顔をはめてみると、有名人の顔抜き看板がミーハーな一体感を高揚させるのとは対照的に、無名の人に同一化することへのえもいわれぬ違和感を感じざるを得ない。けれども顔のない身体の身ぶりから当人のキャラクターや気質をあれこれ思い浮かべ、自然と当人にふさわしい顔を演じてしまうとき、そのこと自体がすでにコミュニケーションのはじまりであることに気づかされるのである。
[2月10日(日) 福住廉] |
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