村田真/酒井千穂 |
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7/5〜7/15 |
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トーキョーワンダーウォール公募2008
6/14〜7/6 東京都現代美術館[東京] |
美術館ツアーで大岩オスカール展を再訪した後、ワンダーウォール見物。気になったものは、花柄布に泥を塗ったようなペインティングの皆川俊平、独特の色と筆づかいでヌードを描く興梠優護、紅白幕を細長いパネルに張ってミニマルアートに見立てた平野昌史、コンビニ前で69してるヤツがいるヘタな風景画の吉岡雅哉、あと大賞を受賞した村上滋郎あたり。
[7月5日(土) 村田真] |
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「小さなルーヴル美術館」展
5/24〜2009年5月(予定) 三鷹の森ジブリ美術館[東京] |
妻子を連れて、いや連れられて初訪問。日時指定の予約制なので、既存の家を改装した小さな美術館かと思ったら、予想をはるかに超えて大きい。つまり、これだけ大きくても予約制にしなければならないほど人が入るということだ。実際、日曜ということもあってかなりの人出。公立美術館が軒並み苦戦しているというのに、アニメの分際でなんでこんなに人が入るのか。アニメは映像を見てりゃいいのであって、美術館なんか必要ねえんだよ。と思っていたが、随所に工夫が凝らされて、こりゃけっこう楽しいぞ。「小さなルーヴル美術館」展は、ルーヴル所蔵の名画数十点を縮小コピーして紹介し、あわせてルーヴルの歴史もジオラマで見せている。縮小コピーかよ……とはぼやくまい。こんどはぜひ「小さな東京都現代美術館」展をやってほしい。
[7月6日(日) 村田真] |
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コロー:光と追憶の変奏曲
6/14〜8/31 国立西洋美術館[東京] |
コローというと、新古典主義からロマン主義、レアリスム、印象派まで激動する19世紀美術をひととおり体現したようなところがあって、「これだ!」という強烈な印象がない。だから美術史的には、アングルよりもドラクロワよりもクールベよりもマネよりもモネよりも下位にランクされるはず。にもかかわらず、本国フランスではなぜか国民的な人気を誇っている。まあ歴史的重要性とポピュラリティは必ずしも一致しないというか、一致するほうが珍しいが。かといって、もちろん人気だけの三流画家でないことはこの展覧会を見ればよくわかる。いかにもコローらしい(とぼくが思う)《モルトフォンテーヌの想い出》、画中画も見られる《青い服の婦人》、モナリザに感化された《真珠の女》などの代表作もある。途中、コローにしてはずいぶんヘタクソだなあと思う作品に出くわすのだが、それはコローの影響を受けたモネやブラックだったりして、ちょっと大胆な展示構成。
[7月11日(金) 村田真] |
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Chim↑Pom「日本のアートは10年おくれている」
7/7〜27 ナディッフ・アパート[東京] |
恵比寿のちょっと奥まったところに新装オープンしたナディッフ。その手前の建物が解体工事中だったので、一瞬「もう取り壊し?」とびっくりした。ビルは4階建てで地下がギャラリーになっているのだが、螺旋階段で降りようとしたら、壁は落書きだらけで床には粗大ゴミが散乱し、あろうことか水が20センチくらいの深さに貯まっているのだ。新装オープンの店でいきなりこんなことするかよ、っていうか、よくやらせたもんだとあきれるわい。目を上げると、小便小僧がチョロチョロと水を垂れ流し、梁には「世界のアートは7〜8年おくれている」と書かれている。7〜8年ねえ、日本より2〜3年しか進んでないのかよ。でもこれで「日本のアートは世界より10年おくれている」のでないことがわかった。じゃどこより(だれより)10年おくれているのかといえば、もちろんChim↑Pomだが、しかしここで糾弾されているのは10年遅れの日本のアートではなく、ナディッフに集ういかにもスノッブなアートピープルが口にしそうなこのフレーズそのものだ。
[7月14日(月) 村田真] |
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大正の鬼才 河野通勢
6/3〜7/21 渋谷区立松濤美術館[東京] |
河野は大正時代、岸田劉生とともに“デロリ”の美を担った画家。そのアクの強さはマニエリスティックともいえる宗教画に顕著だが、初期の風景画にも木々の葉っぱ1枚1枚まで描き倒そうとする狂気すれすれの情念が感じられる。このフラクタルな感じ、どこかで見たことあると思ったら、河野と同郷(長野県)の戸谷成雄の彫刻《森》シリーズだった。毎日山をながめていると葉っぱのざわめきまで見えてくるのかも。奇妙なのは、河野の傑作の大半が20歳前後に集中し、20代もなかばになると急速に画力が衰えていくこと。関東大震災もあったが、どうやら挿絵画家として売れっ子になったことが大きいようだ。貧乏でも芸術家として奮闘するか、それとも挿絵画家に甘んじて金を稼ぐか、河野は葛藤しただろうか。
[7月15日(火) 村田真] |
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TEAM13雨宮庸介/TEAM14竹村京
6/28〜8/31 トーキョーワンダーサイト渋谷[東京] |
雨宮は、溶けそうなリンゴ彫刻をはじめとする恐ろしげな童話的インスタレーション。まず狭いドアを開けて入るのだが、振り返るとロッカーの扉から出てきたという設定になっていて思わず苦笑。ギャラリー内にはもうひとつロッカーがあり、いきなりそこから人が出てきて驚いた。竹村は写真にドローイング、刺繍した半透明の布などを何層にも重ねたインスタレーション。壊れた鉢や茶碗を日本製絹糸とイタリア製合成繊維でくるんだオブジェの展示もある。ところでタイトルの「TEAM」とはTokyo Wonder Site Emerging Artists on Mezzanineの略だが、最後のメッツァニン(中2階)は、この展示を機に国際舞台へと飛躍してほしいとの意味だそうだ。ふたりとも1975年生まれ、ようやく中2階に差しかかったころか(でも竹村はベルリンで活動し、シドニー・ビエンナーレやプラハ・トリエンナーレにも参加してるぞ)。
[7月15日(火) 村田真] |
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