村田真/酒井千穂 |
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7/18〜7/20 |
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ケープフェアウェル
7/6〜8/17 日本科学未来館[東京] |
妻子に連れられてお台場へ。科学未来館では洞爺湖サミットに合わせたんでしょう、「アートを通して気候変動を知る」という地球温暖化に警鐘を鳴らす展覧会が開かれていた。「ケープフェアウェル」とは科学者やアーティストからなる国際チームが北極圏を航海し、環境の変化を作品化するプロジェクト。どうせハンパなアーティストがエコじみた作品を出してるんだろうとタカをくくっていたら、参加者のなかにはアントニー・ゴームリ―、レイチェル・ホワイトリード、そして高谷史郎もいるではないか。ただしゴームリーは現地制作、ホワイトリードはテートモダンでインスタレーションを展示したため、写真でしか紹介されなかったが。
[7月18日(金) 村田真] |
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トレース・エレメンツ
7/19〜10/13 東京オペラシティアートギャラリー[東京] |
サブタイトルは「日豪の写真メディアにおける精神と記憶」。古屋誠一や志賀理江子やジェーン・バートンのような写真もあれば、アレックス・デイヴィスや古橋悌ニのようなビデオインスタレーション、ソフィー・カーンのようなCG、田口和奈のような絵とも写真ともつかない作品もある。たしか岡崎乾二郎の言葉だったと思うが、「すべての写真は心霊写真である」というテーゼを思い出させる展覧会。
[7月18日(金) 村田真] |
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麻田浩
7/19〜10/13 東京オペラシティアートギャラリー[東京] |
細部をきっちり克明に描いてるんだけど、全体としてなに描いてんだかわからないという、ま日本人にありがちなフェティッシュな工芸的絵画。
[7月18日(金) 村田真] |
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ジュリアン・オピー
7/19〜10/5 水戸芸術館現代美術ギャラリー[茨城] |
80年代に登場したころの彫刻にペインティングした作品はけっこう好きだったけど、今回は2000年以降の新作がほとんど。どうやら90年代からシンプルでフラットな線描画になって、レンチキュラーやコンピュータアニメを使ったり広告も手がけたりして、ぼく的にはだんだん遠ざかってる感じ。浮世絵の影響もあるというが、なるほど手の痕跡を一掃したスーパーフラット絵画ともいえる。
[7月19日(土) 村田真] |
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矢津吉隆展 THE CORONA
7/15〜7/20 アートスペース虹[京都] |
宇宙や神をテーマにする矢津の新作展。今展では、古代から神と結びつけて語られることの多い「皆既日食」をモチーフにしたというインスタレーション作品を発表。真っ暗な会場に入るとLEDランプが取り付けられた巨大なファンが一台。しばらくすると大型のファンが回転しはじめて暗闇に光のサークルが出現した。光は赤、白、緑と、さまざまな色彩パターンに変化していくが、ずっと見ていると、目の錯覚でサークルが歪んで見えてくる。変化はむしろ連続運動の外側、見る側の感覚に起こっているのだと気づいてハッとする。そういえば、なぜ錯覚がおこるのか、現在の科学でもその現象について説明するのは難しいらしい。LEDの装置に神秘的という印象はなかったが、それだけに意識を超えたところで起こる現象と神との関係にさらりとアプローチするスマートな感性がうかがえる。
[7月20日(日) 酒井千穂] |
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塩賀史子展 かたすみの光
7/8〜20 neutron[京都] |
木漏れ日の降り注ぐ森や川辺の風景や、花をモチーフにした精緻な油彩画。見つめているとそこで起こっている風のざわめきや水のせせらぎの音さえも聞こえてくるような気がする。死と再生が繰り返され、絶えず変化する風景の一瞬のきらめきを描き出そうとする塩賀はとても注意深く光を描きだす。キャンバスに描かれた一瞬は、光と影の微妙なコントラストも、柔らかい日差しの描写も、まるで大気中の粒子までを捉えようとしているかのよう。時の経過とともに朽ちていくもの、やがて死を迎えるものの果敢ないありさまをも伝えるその色彩の密度に圧倒的なほど躍動する生命のエネルギーを感じて心が揺さぶられる。ずっとこのまま眺めていたい。そんな思いが湧いてくる美しい作品だった。
[7月20日(日) 酒井千穂] |
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