村田真/酒井千穂 |
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8/1〜8/10 |
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第9回高校生国際美術展
7/29〜8/2 上野の森美術館[東京] |
フェルメール展の内覧会の帰りに寄る。高校生の公募展。興味深いのは海外の部で、アイルランド、イギリス、イスラエル、エジプト、オーストラリア、カンボジア、シンガポール、中国、ミャンマー、ラオスから招待されているのだが、いったいどういう選択だろう? ちなみに、ミャンマーの作品のタイトルを見ると《ミャンマーの伝統と遺産》《家へ帰ろう》、カンボジアは《女性・子供の人身売買と家庭内暴力に立ち向かう》《地球温暖化の軽減、気候変化と環境問題》……。いちど日本の高校生を送り込んだほうがいいかもしれない。
[8月1日(金) 村田真] |
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美術館に行こう!ディック・ブルーナに学ぶモダンアートの楽しみ方
7/25〜9/15 サントリーミュージアム[天保山][大阪] |
1997年に出版された絵本、『うさこちゃん びじゅつかんへいく』の物語に沿って日本でもおなじみのミッフィーが展示ガイドをする。ミッフィーが両親とともに初めて美術館を訪れるという場面を取り入れながら、作品鑑賞へと導く本展は各地で開催されているが、ディック・ブルーナの作品以外は各美術館のコレクション中心なので開催場所によって特色が異なる。サントリーミュージアム[天保山]では、同館と高梁市の成羽町美術館の所蔵品約30点を展示していたが、それらよりも、作ることへの喜びや情熱、アイディアがいかに美術への関心や作品解釈という体験と密接かを示していたペーパーバックやポスターなど、ブルーナの膨大な数のデザインワークに釘付けに。ブルーナ・ファンでなくても充分に楽しめる展示だったと思う。
[8月3日(日) 酒井千穂] |
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ジョン・エヴァレット・ミレイ展
6/7〜8/17 北九州市立美術館[福岡] |
「ラファエル前派兄弟団」の主導者として知られるジョン・エヴァレット・ミレイの10代から晩年に至るまでの作品約80点を展示。《オフィーリア》と《両親の家のキリスト(大工の仕事場)》が見たくて足を運んだ。表現の変遷とともに徐々に深みを増していく画力を知るには充分の数だと言えるし、見応えある大作もあるものの、期待していたよりも感動は薄く、全体的にいまひとつものたりない印象は一緒に行った両親も同じだった。おそらくそれは照明のせい。もったいない。それでも謎解きのような題材やモチーフ、当時のモラルやファッションといった社会を反映した物語世界は魅力的で、知識が豊富だったならもっと楽しめただろうなあと勉強不足を悔やんだ。
[8月9日(土) 酒井千穂] |
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島津の国宝と篤姫の時代
7/12〜8/24 九州国立博物館[福岡] |
東京大学史料編纂所が収集する膨大な資料のなかから100点を3つのテーマ分別で展示。実は初めて訪れた九州国立博物館。いつ行っても賑わっていると聞いていたが、集中豪雨の昼下がりだったにもかかわらず、大河ドラマの篤姫ブームも手伝って老若男女問わず来館者がとても多い。目玉は国宝の島津家文書をはじめ、島津家の武具や調度などだが、《ロシア使節レザノフ来航絵巻》、前身朱色、ふんどしで張りつけにされた落合左平次道次の図の背旗など、ユーモラスで目を惹き付けられるものも多く、混んではいたが広々とした空間でゆったりと見ることができた。収蔵品ギャラリーやトピック展示の仏教絵画なども丸一日なければ見きれないほど。
[8月10日(日) 酒井千穂] |
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日本のゲーム〜室内遊戯のたのしみ〜
6/28〜8/31 北九州市立小倉城庭園[福岡] |
小倉城庭園内にある展示室で開催されていた。「双六」「囲碁」「将棋」といったものから「貝覆い」「カルタ」、源氏香のような「香道」の魅力まで、少量ずつながら幅広く紹介していて、解説も詳しいところが素晴らしい。色とりどりのカルタ、江戸時代末期〜明治時代の盤双六など、見た目も美しいが、ルールやその形式の多彩なことといったら、昔からいかに日本人がゲーム好きだったかを思い知らされる。とはいえ、場所を選ばず味も素っ気もないゲーム機の画面を凝視しながら「脳トレ」のゲームをするのとはワケが違うのだということが子どもにもわかる展覧会で面白い。
[8月10日(日) 酒井千穂] |
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民衆の鼓動──韓国美術のリアリズム1945-2005
7/5〜8/24 府中市美術館[東京] |
韓国の現代美術はこれまでずいぶん紹介されてきたが、そういえばリアリズム絵画に関しては盲点というか、ありそうでなかったなあ。愕然とするのは、107点の出品のうち40年代の作品はたった1点、60年代は2点、50年代と70年代は10点ずつしかなく、残る8割が80年代以降の作品であることだ。朴正煕大統領が暗殺されたのが79年、いわゆる光州事件が起きたのが80年のことだから、それ以前は芸術表現に制約があったたわけだ。逆にその後30年足らずのあいだにこれだけ急激に発展したことに驚かされる。作品は内容伝達を一義とするため技術的につたないものが多いが、つたなさゆえに真実味をともなう効果もあるようだ。ともあれ、竹島=独島問題で中止にならなくてよかった。
[8月10日(日) 村田真] |
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