村田真/酒井千穂 |
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8/14~8/16 |
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神奈川・チェコ版画交流展2008・版17横浜展
8/5~17 神奈川県民ホールギャラリー[神奈川] |
どういうものか知らずに入った展覧会。どうやら神奈川の版画団体「版17」がチェコとの交流を目的に、グループ展に際してオルドジヒ=クルハーネクの版画を特別展示したものらしい。会場の半分以上をクルハーネクによるリアリズムのヌード版画が占めている。パンフレットに針生一郎氏が「むしろ日本の版画こそ、現にある束縛や制約を自覚せず、甘やかされた自由のなかでやたらにソフィストケートされた表現におちいらないか心配だ。日本側がチェコに対抗するには、版画の概念そのものをできるだけはみだす以外にないだろう」と書いておられるが、久々に少し賛同した。
[8月14日(木) 村田真] |
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生きてる美術
8/5~17 神奈川県民ホールギャラリー[神奈川] |
横浜界隈の作家のグループ展らしいが、若い作家がいるにもかかわらずなぜか会場には一世代前のマイナーっぽい空気が漂っている。考えてみればこのギャラリー、70年代に設立された当初は、横浜市民ギャラリーとともに最先端を行く公設ギャラリーのひとつだったが、横浜美術館ができ、横浜トリエンナーレが始まり、いつのまにか時代に取り残された感がぬぐえない。そんな時間が止まったようなギャラリーをまさに象徴するような展覧会というか。だから30年間、時間が止まったまま「生き(続け)てる美術」なのだ。でもおもしろい作品もあった。大東亜戦争末期の女子挺身隊をフィギュア化した田乃上顕治とか。
[8月14日(木) 村田真] |
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丸山純子展
6/24~8/24 山梨県立美術館[山梨] |
わざわざ山梨くんだりにまで出かけたのは、作者が強引に特急のチケットを送りつけてきたからでもあるが、ぜひいちど県美のミレーにお目にかかりたいと思っていたからでもあるのだ。たしかにミレーはあったが、ただあったというだけでなんの感興ももよおさなかったなあ。丸山の作品は、熱で曲げたりニューッと伸ばしたりしたビニール製品を組み合わせたもの。コンセプトも場の空気も悪くないのだが、やはり上には上がいるもので、たとえばトニー・クラッグの美しさにはかなわない。ジャンクを使うのだったら、見違えるように美しく見せるか、さもなければうんと醜く見せるかしかないと思う。
[8月15日(金) 村田真] |
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舟越桂──夏の邸宅
7/19~9/23 東京都庭園美術館[東京] |
近作の《スフィンクス》シリーズを中心に、80年代のなつかしい初期作品やドローイング、版画も展示。5年前に東京都現代美術館で大規模な個展を開いたのに、なぜまた都の美術館で? との疑問は、会場を一巡すれば氷解する。これは単に舟越の彫刻を見せる展覧会ではなく、アールデコに彩られた旧朝香邸のなかで舟越彫刻を堪能することを主眼とした贅沢な試みなのだ。だからタイトルの「夏の邸宅」とは、作品のことではなく、それが置かれた旧朝香邸のこと。出品作品を絞り込み、制作順に並べてないのもそのためだ。
[8月16日(土) 村田真] |
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