竹久侑: 2009年11月アーカイブ

先週、水戸のある高校へ映像ワークショップに出かけて来ました。
講師は、2月から始まるリフレクション展の出品作家のひとり、藤井光さん。

生徒を2人(もしくは3人)1組にペアリングして、
それぞれ監督と役者を交互に体験してもらうというもの。
脚本は、なんと統一テーマで「告白」。

思い思いの告白のシーンを監督が演出して、役者が演じます。

当然、思春期で「告白」なんてこっぱずかしくて
誰もやりたくない!のですが、
それを承知のうえでの企画でした。

ハードルが高いだろうとドン引きを覚悟していましたが、
思いの外、高校生たちはカメラをいじっていくと、
だんだんカメラそのものに夢中になっていき、
結果的にみんな撮影と演技を楽しんでくれたようです。

最後、つくったものをみんなの前で披露するのですが、
それが恥ずかしいのなんの・・・。

というのも、高校生だけでなく、
先生も美術館スタッフも、まんまとだまされて、
おっと言葉が過ぎました、組み込まれて、
「告白」を演じさせられたからです。

このワークショップの成果物は、
リフレクション展の1コーナーでなんらかの形で発表する予定です。
もちろんスタッフのは抜きですが。
今日は、
いまニュースでも大きく取りあげられている、
行政刷新会議事業仕分け対象事業について、
わたしたち一般市民の意見が求められていることのご案内です。

さまざまな事業のなかに、芸術文化に関わる事業も含まれています。
日本のこれからの芸術文化のありように少なからず関わることが、
今まさにわたしたちが選んだ政府によって決められようとしていますね。

去る日曜日、大友良英さんにディレクションしていただいた
ENSEMBLES paradeがものすごくハッピーで、かつゾクゾクする感覚を残して
無事、終了しました。

終了といっても、これはプロローグにすぎず、ここから本章が始まります。

ちんどん屋さん、
ジャグ・バンド、
人形を連れたおもしろバンド、
アイリッシュバンド、
リコーダー隊、
初々しくてかわいらしすぎる朝鮮学校舞踊部女子の小学生から高校生までのサムルノリ、
アゲアゲのサンバチーム、
一糸乱れぬ統率のとれたアンサンブルに誰もが圧倒される大洗高校のブラスバドと、
それぞれまったく異なるスタイルのバンド11チームが、
水戸の中心市街地をそれぞれの曲を演奏して1時間ほど練り歩いたあと、
最終地点の水戸芸術館広場になだれ込んで、
チームがぐじゃぐじゃに入り乱れ、
同時に音も入り乱れたうえで奏でた
超不協和音のアンサンブルは本当に最高に気持ちよかった。
まわりのおばちゃんも思わず踊りだしていた。

夜には、
前日のワークショップで集まった演奏経験がバラバラの30数名が、
息の張りつめるような静寂のなか奏でたミニマルなアンサンブルも
とても心地よかった。

そのあとの大友さんのソロにはまた泣かされてしまった。

大友さんが提唱する「アンサンブルズ」という恊働のあり方は、
アーティストだけでなく、主催者も企画者もスタッフも技術者もボランティアも、
今までもしそこに見えない境界やヒエラルキーがあったならそれを飛び越えて
いっしょにアクションをすることからプロジェクトをつくりあげようとするもの。

このスタンスにこそ、私はいま現代美術のアートプロジェクトのあり方として、
大きな可能性を見ています。

それを探って、「本章」をつくっていこうと思っています。

*ENSEMBLES paradeの写真は、自分ではそれどころでなく撮れなかったので、
後日入手し次第アップします。
こんばんは。

大友良英さんのENSEMBLESシリーズの動きは、
昨年のYCAMでの衝撃的な展覧会以来、今年もいくつかの街でつづいていますが、
水戸でもその一連のプロジェクトを、
水戸らしくまちの人びとといっしょになって、今週の日曜日に開催します!

題して、ENSEMBLES parade/アンサンブルズ・パレード

駅北口の芸術館に向かう目抜き通りを中心に、
地域住民を主にした11チームがパレード。
全国優勝クラスの高校ブラスバンド部や、
サンバチームの打楽器隊、
女子オンリー編成のサムルノリ、
ちんどん屋さんや、
風変わりなリコーダー隊、
人形と歩く二人組などなど、
かなりおもしろいチームが、プロアマ混合で、参加します。

(注:パレードといっても車道使用許可がおりなかったので歩道を歩きます。)

各チームが自分たちの曲を演奏しながら
最終地点の水戸芸術館広場に向かって歩き、
広場では、大友さんがこの日のために書き下ろした曲を全チームで合奏して
特殊なアンサンブルを奏でるという内容です。

一回目の試みなので、かなり手探り感が強く、
今日も朝11時から夜9時までそのスタッフ打ち合わせでした。
これを機に、水戸の恒例事業にできたらなぁ、なんて妄想を抱いたりしています。

夜には、ライブ。
実は、前日に一般参加者を対象としたワークショップを開催し、
そこに楽器だったり、楽器に見立てた音の鳴るものを各自もちよって、
これまた特殊なアンサンブルを、大友さんといっしょに奏でることになっています。
ライブは、そのお披露目と大友さんの水戸初のソロライブの組み合わせです。

日時:11月8日 18時〜20時
会場:PARK IS 4階
チケット前売り1500円、当日2000円(ともに1D付き)
チケット取扱:水戸芸術館エントランスホール・チケットカウンター
       水戸芸術館チケット予約センター Tel.029-231-8000
詳細は、下記URLをご参照ください。

これは、MeToo推進室といって、アートと街をつなぐことを目指して結成された市民団体と、水戸商工会議所との共同主催の街中プロジェクトです。

これまでも水戸芸術館と関わりの深い2団体でしたが、
この企画を機に、いわゆる「委託」などではなくて、
本当の意味で「恊働する」というあり方が実現されています。
そういう意味でも、今年度限りにせずつづけていきたいものです。

今週末の予定がまだ決まってないお近くの方、ぜひぜひお越しください。
みなさん、おひさしぶりです!

artscapeのブログ担当、再度仰せつかり、ありがとうございま〜す。
水戸芸術館現代美術センター学芸員の竹久です。
どうぞよろしくおねがいします。

まずは先週末にオープンした展覧会のお知らせから。
10月31日、「Beuys in Japan:ボイスがいた8日間」展が水戸芸術館でオープンすると同時に、若手作家とキュレーターがともに展覧会をつくる当館企画「クリテリオム」の77回目として矢口克信さんの「トマトラベル」がスタートしました。


矢口さんは、去年の秋の水戸の街中でのアートプロジェクト「カフェ・イン・水戸2008」に出品したのを機に、水戸に移り住み、<小料理喫茶ワシントン>を不定ですが営業しているアーティストです。

そのほかにも、そのお店の界隈で、フリーマーケットを企画・運営したりと、ホワイトキューブ外での活動を活発におこなっています。

そんな矢口さんに、あえてホワイトキューブで何をするのか?という問いを投げかけました。

その答えがご覧になれます。

最近、水戸は元気です。
近場の「遊戯室」では、白川昌生さんの個展が同日にオープンしました。
もちろん、ボイス展を意識した企画。

ぜひ、ボイス展、矢口展、白川展、<ワシントン>とあわせてご覧になってほしい!
一押しです!

ブロガー

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