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学芸員レポート
<新執筆陣>
札幌/鎌田享青森/立木祥一郎福島/伊藤匡東京/住友文彦豊田/能勢陽子大阪/中井康之
山口/阿部一直
<旧執筆陣>
札幌/吉崎元章福島/木戸英行東京/増田玲東京/南雄介神戸/木ノ下智恵子高松/毛利義嗣
福岡/川浪千鶴
「美術館経営」の問題/没後30年記念 高島野十郎展/風倉匠展/「アートの現場」展のドキュメントCD発行
福岡/福岡県立美術館 川浪千鶴
2005年担当の企画および抱負
 開館20周年の節目だからこそ、地域の文化拠点としての美術館のあり方を探る、地道な年にしたいと考えている。
 探る方向は二つ。ひとつはこれまでの蓄積を総括するもの。福岡における近世以降の美術について、常設展では福岡県美術家列伝をシリーズ展開の予定。地域のすぐれた作家を発掘する企画展としては、久留米出身の近代洋画家・高島野十郎を最新の調査・研究をもとに再度紹介する。「没後30年記念 高島野十郎展」(12月〜2006年1月)は、彼の鬼気迫る写実の本質を検証する絶好の機会となるはず。
 もうひとつは、現場やフォーラムとしての美術館の可能性を提案するもの。98年から私が企画している「アートの現場」展の拡大バージョンとして、前衛美術家・風倉匠の音と時間をめぐる大規模なインスタレーションとパフォーマンス(4月19日〜6 月5日)や坂崎隆一展(11月〜2006年1月)を開催する。また、福岡のアートシーンを定点観測した「アートの現場」展8年間のドキュメントを秋にCDカタログとして発行予定。この20年の県美史や福岡のアートシーン史もおまけにつける予定なので、ご期待ください。
2005年の気になる展覧会、動向
 やはり一番は、「美術館経営」の問題。公立文化施設の新たな管理運営方針の公表・募集がすすむ「指定管理者制度」や芦屋市立美術博物館のその後(NPO運営)などが気になる。
 美術館とは何ぞやという問いは、誰の何のために、誰がどのように運営するのか、という問いに発展している。公共、公益、公平……さまざまな「公」性の再検討とともに、数字に振り回されない美術館の基礎体力(使命)と戦術(地域との連携)が問われる。
[かわなみ ちづる]
<新執筆陣>
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