小吹隆文/福住廉 |
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10/2-10/6 |
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小川信治展──干渉する世界
9/30〜12/24 国立国際美術館[大阪] |
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名画や風景の一部を改変した作品で知られる小川信治の世界を、90年代の「WITHOUT YOU」シリーズから新作「モアレの風景」まで、約50点で概観している。皇女が抜けた《ラス・メニーナス》、二つ並んだピサの斜塔等の作品は、まるで目の前にパラレルワールドが出現したかのよう。精緻極まる描写力も相まって、われわれを驚異の世界へと導いてくれる。目と頭脳をフル回転させて迷宮を彷徨う愉しみに、しばし心を奪われてしまった。また、専門家の高度な解釈からビギナーのシンプルな驚きまでを許容するレンジの広さも、この人の魅力だと改めて実感した。 |
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[10月2日(月) 小吹隆文] |
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エッセンシャル・ペインティング
10/3〜12/24 国立国際美術館[大阪] |
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1990年以降の欧米絵画シーンを鮮明に伝える本展を見て思ったのは、国内メディアでしばしば伝えられていた映像優勢との情報は何だったんだ?ということ。13名の出品作家のうちL・タイマンスやE・ペイトンら数名はすでに日本でも知られていたが、これだけバラエティに富んだ豊かな展開が過去15年の間に存在したとは。急いで自分の中のデータと評価軸を書き換えなきゃ、と焦ってしまった。逆に言えば、本展がそれだけ上質なものだということ。近年出色の企画展であることは間違いない。
[10月2日(月) 小吹隆文] |
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間島秀徳 Kinesis : 発生(birth/site/kinetic)
9/18〜10/1 テラタスタジオ[茨城] |
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間島秀徳の新作展。会場は事務所の中にある土間のような空間で、壁の一面には幅が15mにも及ぶ錆びついた鉄板が備えつけられている。間島はこの場で制作しながら、この鉄板を背景に巨大な作品を展示した。青い画面には砂や大理石が堆積して多層的なマチエールを構成しているが、鉄板の錆がその物質性と色彩をいっそう際立たせていた。
[10月2日(月) 福住廉] |
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黒木美希展──樹海の浮標 2006
10/3〜15 平安画廊[京都] |
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黒木美希の作品は、木版画で作ったベースとなるフォルムと色彩の上に、コピー機で模様等を転写した薄い和紙をコラージュして作られる。和紙の重なりが微妙な色彩の変化を生み、ストライプと模様が抑制された旋律とリズムを刻む。作品から受ける感興は、むしろ音楽や詩を聞いた時のものに近いのではなかろうか。作品が放つクールな律動に心地よさを憶えた。
[10月5日(木) 小吹隆文] |
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中村一美展
10/2〜20 ギャラリー風[大阪] |
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『存在の鳥』と題されたシリーズの新作10数点を発表。原色は勿論、エナメル系の派手な色彩までを駆使し、画面いっぱいにぶつけ合うように描かれた作品は、不思議なほどけばけばしさを感じさせない。むしろ典雅さや官能性が匂い立ち、見る者を陶酔の世界に誘い込む。中村の個展は関西では滅多に行なわれないので、関西のアートファンにとって貴重な機会であった。
[10月6日(金) 小吹隆文]
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