小吹隆文/福住廉 |
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10/16-10/18 |
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中村協子展「煩悩スープ」
10/16〜21 Oギャラリーeyes[大阪] |
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これまで漫画や野球選手、人の鼻などをモチーフに、パターン化された図像が人間の「認識」や「意味づけ」に与える影響を考察してきた中村協子。本展では日頃描き溜めているドローイングを平面作品と共に大量に出品。多くは辞書から抜粋した言葉とその意味、言葉にまつわる絵画イメージだが、一見脈絡のない図像やオノマトペなども付随している。それらが壁一面に貼られた様子は、まるで彼女の思考が露にされたようで非常に興味深い。また、ドローイングの圧倒的な量と密度からは狂気すれすれの理性が感じられた。 |
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[10月16日(月) 小吹隆文] |
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三瀬夏之介展『奇景』
10/16〜29 ニュートロン[京都] |
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ここ数年旺盛な活動を展開し、今年年初の『MOTアニュアル2006』以降、首都圏でも認知された観のある三瀬。本展でもその勢いは持続され、森羅万象を感じさせる大作絵画が出品された。富士山や滝、大仏などの伝統的モチーフと、UFO、ネッシー、飛行機など少年期の夢を思わせるアイテムが混在する世界は、確かに「奇景」である。しかしそれは21世紀の日本で生きる三瀬が見た“ありのままの世界”でもあろう。時代の様相と個人の夢想を高純度で結合させた作品は、奇跡的ビジュアルという意味で「奇景」だと私は思う。
[10月17日(火) 小吹隆文] |
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プライスコレクション 若冲と江戸日本絵画展
9/23〜11/5 京都国立近代美術館[京都] |
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噂どおり凄かった。企画展示室だけでは収まりきらず、常設展示室の約半分と1階も使って100点以上の最上級品が出品。さらに、江戸時代と同じコンディションで作品を見るために、障子貼りの空間や和室まで用意されたのだから。春に神戸で『江戸の誘惑』を見た時にも思ったのだが、「欧米のコレクターに根こそぎ持っていかれてるじゃないか!」。そんなジェラシーを抱きつつ、「大切に守ってくれてありがとう」と殊勝な気持ちにもなってしまった。
[10月17日(火) 小吹隆文] |
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森鴎外と美術
9/10〜10/22 和歌山県立近代美術館[和歌山] |
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森鴎外といえば文豪で軍医。そこまでは知っていたが、美術界にここまで深く関わっていたとは(批評はもちろん、文展の審査員、果ては帝室博物館の総長まで務めていたのだ)。本展では親友・原田直次郎との交流や歴史画を巡る論争、洋画と日本画の対立、黒田清輝ら新世代の台頭など、明治・大正の美術動向を約250作品で紹介している。森鴎外という一見意外なファクターを導入する事で、当時の状況がダイナミックに伝わってくる。まさに企画の妙である。残念なのは会期終了間際にやっと本展を見たこと。もっと早く来て前号のレビューに載せておくべきだった。反省。
[10月18日(水) 小吹隆文] |
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