小吹隆文/福住廉 |
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9/26-10/1 |
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上田順平展──チャンポン
9/26〜10/1 ギャラリー16[京都] |
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上田順平は、既成のさまざまなイメージや陶芸産業において安価な大量生産品で使われる素材を用いて、奇形的な陶オブジェを作り出している。例えば、自分の顔と極端なリーゼントの髪型とミッキーマウスの耳と招き猫の足と自動車の車輪とマフラーが合体し、さらに多数の陶片がコラージュされた極彩色のオブジェ、という具合である。それらは作者自身が内包する土俗やキッチュ、カスタマイズに対するフェティシズムの現われであり、陶芸に対する反語的な愛情表現でもある。また、現代人の肥大化した物欲に対するアイロニーとも解釈できよう。そうしたテーマをシリアスにならず、ポジティブな親しみやすさを以って表現できるのがこの人の強みだと思う。 |
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[9月26日(火) 小吹隆文] |
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ジェニー・ホルツァー
9/7〜10/14 スカイ・ザ・バスハウス[東京] |
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おなじみの電光掲示板は説教くさいし、プロジェクションの作品はウディチコみたいだった。
[9月29日(金) 福住廉] |
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桑山彰彦展
9/25〜10/8 トキ・アートスペース[東京] |
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英語だけで表記された東京の地下鉄路線図は一見するとサイモン・パターソンのようだが、よく見ると新宿を「New hotel」、渋谷を「bitter valley」、銀座を 「silver seat」といったように、日本語を無理やり英語に翻訳していて、そのバカバカしくも強引な力技が笑える。同じようにすべて英語で表記されている東京都の地図は、横田基地と東京ディズニーランドだけが赤く塗り上げられていて、このアルファベットで埋め尽くされた土地が政治的にも文化的にも米国の支配下にあることを一目瞭然にしている。桑山の作品が面白いのは、そのことを深刻に告発するのではなく、無茶な翻訳に見られるように、その不自然なまでに歪んだいびつさを楽しみながら表現しているからだ。それは僕らに残されているのが、たんなる地図的想像力というより、狂ったイマジ
ネーションでしかないということでもある
[9月29日(金) 福住廉] |
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中ハシ克シゲ展 ZEROs──連鎖する記憶
9/30〜11/12 滋賀県立近代美術館[滋賀] |
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プラモデルのゼロ戦を接写し、2万5000枚の写真を張り合わせて実物大のハリボテを制作・焼却する《ZERO Project》と、戦争にまつわる歴史的事件があった場所に赴き、事件と同じ日の日の出から日没まで撮影した写真を張り合わせてタピストリー状に展示する《On the Day Project》を紹介。モチーフゆえ反戦メッセージと取られがちな両シリーズだが、中ハシの狙いは「記憶」の共有にある。戦争という巨大な出来事を軸に、取材や制作ボランティア等で繋がった人々と話し合い、経験を共有することで、学校や書物で知るものとは異なるもうひとつの「歴史」が浮上、そして連鎖していくのだ。本展では、比叡山頂に設けられた特攻基地にまつわる新作も公開制作。プロジェクトの現在進行形を見せることで、執念すら感じさせる気迫のこもった展覧会となった。
[10月1日(日) 小吹隆文] |
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