村田真 |
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若冲展
5/13〜6/3 相国寺承天閣美術館[京都] |
きっと混むはずだ、との予想のもと朝7時前ののぞみに乗って、京都・相国寺に着いたのが9時半。チケット売場の前にはすでに30〜40人が並んでいた。男女比は2対1で中高年が多く、若い男や子供はほぼ皆無。10時の開館と同時に第1会場の水墨画の展示は横目で通りすぎ、第2会場の《動植綵絵》と《釈迦三尊像》に直行する。おかげで混雑するまでの1時間たっぷり見ることができた。そう、今回は、若冲が相国寺に寄進し明治期に皇室へ献納された《動植綵絵》30幅が里帰りし、寺に残された《釈迦三尊像》3幅とおよそ120年ぶりに再会する歴史的機会なのだ。奇妙なのは、第2会場のつくりがこれら全33幅を展示するために設計されたとしか思えないくらい作品がぴったりハマっていること。どうやら100年に1度はこんな機会もあるんじゃないかと見越して第2会場は建てられたようだ。今回じっくり見てあらためて気づいたのは、《動植綵絵》といいながら動物は鳥、魚貝、虫、カエルなどに限られ、哺乳類がまったく登場しないこと。かわりに《釈迦三尊像》には人間、獅子、象などの哺乳類(仏や神獣というべきか)しか描かれてなく、しかもそれらは鳥や魚に比べて観察に基づいた描写ではないこと。さらに、《動植綵絵》に描かれた動物は飛んだり泳いだりでき、重力から自由になれる動物たちであること。また、これらの動物の身体や植物の花は、構造や原理までわかるように丹念に描写されている反面、水、雪、氷、木の幹といったもともとかたちのないようなものはサイケなまでに形態が歪められていること。これらのことからわかるのは、若冲は飛んだり跳ねたりする対称性をもった生き物に対して、異常なまでの愛情を注いでいたのではないかということだ。
[5月17日(木) 村田真] |
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絵画と衣裳 美の名品展
4/13〜5/27 京都文化博物館[京都] |
かつて贋作が疑われたボッティチェリの《美しきシモネッタ》が出ているというのでついでに寄る。丸紅がコレクションした絵画と衣裳で、衣裳はすっとばし、絵画だけ見る。ボッティチェリからコロー、ゲインズバラ、印象派、エコール・ド・パリ、日本の洋画まで玉石混交。バブルの時代にひともうけたくらんで買い込んだものの余っちゃいました的コレクションか?
[5月17日(木) 村田真] |
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福田平八郎展
4/24〜6/3 京都国立近代美術館[京都] |
入ってすぐにいきなり抽象画のような《水》があって、若冲がよみがえる。平八郎もまた鳥や魚、植物、水、雪、氷などをよく描いた。人物は初期のころを除いて1点もない。日本画ってみんなそうか。感動的なのは幾何学的描写の《うす氷》と《牡蠣と明太子》の明太子の風情。
[5月17日(木) 村田真] |
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リサとガスパール&ペネロペ展
4/26〜5/27 美術館「えき」KYOTO[京都] |
帰りの京都駅で寄ってみる。ゲオルグ・ハレンスレ−ベンとアン・グットマンによる絵本の展覧会なのだが、なんでそんなもん見る気になったのかというと、リサがポンピドゥセンターに住んでたり、ガスパールとヴェネツィアや京都の金閣寺を訪れたり、けっこう美術ファンをくすぐるような絵本だからだ。タッチも表現主義的でグッときちゃうぜ。
[5月17日(木) 村田真] |
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