小吹隆文/福住廉 |
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11/13~11/14 |
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齋藤周「それでも優しい風は吹く」
11/13~25 ニュートロン[京都] |
北海道・札幌を拠点に活動する齋藤が、関西では昨年2月以来の個展を開催。身近な情景を元にした断片的イメージと色面による絵画を大量に壁面に配置して、一種の絵画インスタレーションを作り出すのが彼の特徴だ。ランダムに引き出されたイメージが有機的に連結された作品は、まるで人間の記憶をパノラマ化しているかのよう。見る者それぞれが独自の物語を紡ぎ出せる面白さも兼ね備えている。床に小品を平積みするという奇策も、絵画の可能性を広げるユニークな試みだ。
[11月13日(火) 小吹隆文] |
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藤友陽子 銅版画展
11/13~18 立体ギャラリー射手座[京都] |
先の見えない坂道や曲がり角などの風景を、必要最小限の要素で描き出す藤友。静けさの中にも泡立つ気配が感じられる画面を見ていると、「この道の先には何があるの?」と自問せずにはいられない。シンプルに横一列に並べる展示も、作家の気質が表われているようで好感を持った。
[11月13日(火) 小吹隆文] |
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永沼理善 展
11/13~25 ギャラリー揺[京都] |
多数の歯車を組み合わせて機械式時計のようなオブジェを作る永沼。自重でゆっくり下降する際の各パーツの正確な動きを眺めていると、時が経つのを忘れてしまう。カチカチと金属同士がこすれあう音もメカならではの魅力だ。一方、引きで作品全体を見ると、その動きはまるで生き物のよう。機械美と生命美、両方を併せ持つことが作品の魅力であろう。
[11月13日(火) 小吹隆文] |
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感情の強盗
11/10~18 BankART1929[神奈川] |
榎忠やChim↑Pomなど国内外から7組を集めた展覧会。グループ展としての特徴は、ステイトメントに「作品を観て背景や意味を“考える”前に、ダイレクトに作品を“感じて”ほしい」とあるように、「意味」より「感覚」を重視しているところにある。たしかに女性のモデルにたいして執拗に暴力を加えるチャン・ジアの映像作品は、そこに隠された意味を考えるより前に、見続けるのが耐え難いほどの嫌悪感を催される。このような感覚主義は、感性を直接揺さぶるという点ではアートの醍醐味を最大限に活かしているが、その一方で「意味」を退けることでアートを論理的に思考する努力を放棄してしまいがちでもある。作品を見る側ならともかく、展覧会を作る側がそれを手放してしまったら、キュレイションとはいったい何を意味するのだろうか?
[11月14日(水) 福住廉] |
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「沈黙から」塩田千春 展
10/19~11/17 神奈川県民ホールギャラリー[神奈川] |
塩田千春の大規模な個展。神奈川県民ホールギャラリーの展示室すべてを用いて、塩田の世界観を存分に見せつけている。燃やしたピアノからあふれ出たおびただしい黒い糸、無数の白い窓で組み立てられた回廊。たしかに会場は文字どおり無音の沈黙が支配していたが、そこには雄弁な沈黙ともいうべき音が満ちていたような気がした。
[11月14日(水) 福住廉] |
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