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展覧会レビュー
小吹隆文/福住廉
11/15〜11/21
間島秀徳 展──Kinesis No.316 hydrometeor
10/11〜11/22 香染美術ギャラリー[東京]
間島秀徳展──Kinesis No.316 hydrometeor
間島秀徳の新作展。これまでのKinesisシリーズと同じように、水に溶いた膠絵具をパネルに流し込むことで神秘的な青の画面を作り出しながらも、今回はその裏面に黒と白の画面をあわせて、しかもその両面を屏風のように立てることで、新たな見せ方に挑戦していた。会場にはかつて五浦の六角堂で発表した作品の映像がPCのモニターに流されていたが、その波音を耳にしながら青と黒の画面を行き来すると、垂直に流れる滝の水流に囲まれているようでもあり、青い大気と黒い宇宙のあいだを往還しているような錯覚に陥るのである。
[11月15日(木) 福住廉]
Chim↑Pom展 サンキューセレブプロジェクト「アイムボカン」
11/8〜12/8 無人島プロダクション[東京]
Chim↑Pom展 サンキューセレブプロジェクト「アイムボカン」
Chim↑Pomによる3回目の個展。今回のモチーフは「セレブと地雷撤去」。ダイアナ妃からアンジェリーナ・ジョリーにいたるまで、セレブたちは私財を投じて善意の活動に取り組んでいるが、その後を追うかのようにChim↑PomのメンバーもアコムとHISを通じてカンボジアの地に降り立った。会場には当地で地雷とともに爆破したヴィトンのバッグやメンバーのエリイを模った石膏像の残骸のほか、その様子を撮影した記録映像の一部が展示されていた。一見するとセレブの行動様式をパロディにした悪ふざけのようだが、しかしセレブのマストアイテムともいえるラグジュアリーブランドと、そのセレブに扮したエリイの石膏像を地雷もろとも木っ端微塵に爆破してしまうパフォーマンスが示唆しているのは、「セレブ」という階級とそれに憧れる私たち自身の欲望の破壊である。その意味でいえば、まさしく「アイムボカン!」なのだが、それはたんなる自己否定の実践にとどまらない。彼らが本展終了後にチャリティーオークションを計画してその収益をカンボジアに還元しようとしているように、Chim↑Pomは爆破による破壊のあとに新たな路を切り開こうとしているのだ。その先にどんな世界が広がっているのかは、Chim↑Pomのあとに続かなければ見えてこない。
[11月15日(木) 福住廉]
ピピロッティ・リスト からから
11/17〜2/11 原美術館[東京]
ピピロッティ・リスト からから
ピピロッティ・リストによる美術館での個展。これまでと同様に、映像作品を中心にしつつも、かつて個人の私邸だった原美術館の特性を最大限に活かした展示構成となっているため、決して飽きることがない。(かつて束芋が仕掛けたのと同じように)床に投影された映像をバルコニーから見せたり、救急箱や床の一部に極小サイズの映像を組み込んだり、あるいは便器の中にカメラを仕込んで観覧者自身の排泄物を見せたり、たいへんな工夫が凝らされていて、映像を見る経験じたいが楽しくなっている。鮮やかな色彩と浮遊感を帯びた映像は、たとえば蜷川実花の写真にも通じる感性を体現しているが、それ以上に幻覚的であり、なおかつ知的であることから、90年代の蜷川がそうであったように、00年代のガーリーな感性を鋭く射抜いているのかもしれない。
[11月16日(金) 福住廉]
マツダジュンイチ展
11/16〜12/4 アートゾーン神楽岡[京都]
マツダジュンイチ
都会や工場、岸壁などを、独自の造形感覚と墨の濃淡で表現するマツダジュンイチ。しかし、作品に近づいてよく見るとビックリ。色面と思っていたものが、実は無数の線でできており、それらが集積して複雑な空間を作り上げているのだ。今回は広い空間と吹き抜けを持つギャラリーでの個展とあって、180×720センチ、112×580センチの大作を出品。吹き抜けには天地9メートルを超えるドローイングも展示された。同時に小品絵画や、今回始めて手がけた版画作品も展示されており、その旺盛な制作意欲には脱帽というほかない。
[11月20日(火) 小吹隆文]
八つの課題
11/10〜30 ギャラリーヤマグチクンストバウ[大阪]
八つの課題
三嶽伊紗、今村源、井上明彦、日下部一司による一風変わった企画展。官製にハガキによる往復書簡を続けながらそれぞれが二つの課題を出題。全員が計八つの課題に即した作品を制作し、ギャラリーで一堂に展示した。約40点にも及ぶ作品は、日頃の彼ららしいものもあれば、異質な要素を感じさせる表現もあり、バラエティに富む。どうやら往復書簡で互いの意図が伝わるため、ある種の駆け引きが発生したらしい。ハガキも一緒に展示されたためコミュニケーションの一端が伝わり、私自身もにわか探偵気分で推理を巡らせてしまった。自分の世界を確立したアーティスト同士ならではの大人の遊戯というべきか。こういう凝った企画がもう少しあってもいい。
[11月21日(水) 小吹隆文]
Index
10/25〜10/30
浅田政志 写真展 浅田家2007
北九州国際ビエンナーレ'07 Cute or Creepy?
ARKO2007三瀬夏之介
平塚景堂 展
GELATIN SILVER SESSION
10/31〜11/3
矢部奈桜子 展
I meet
鳥獣戯画がやってきた!──国宝『鳥獣人物戯画絵巻』の全貌
河口龍夫──見えないものと見えるもの
11/4〜11/10
三沢厚彦 アニマルズ+PLUS
岡本高幸 展「一人力」
堀香子 展──螺旋の森へ
STAY WITH ART 2007
11/13〜11/14
齋藤周「それでも優しい風は吹く」
藤友陽子 銅版画展
永沼理善 展
感情の強盗
「沈黙から」塩田千春 展
11/15〜11/21
間島秀徳 展──Kinesis No.316 hydrometeor
Chim↑Pom展 サンキューセレブプロジェクト「アイムボカン」
ピピロッティ・リスト からから
マツダジュンイチ展
八つの課題
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