| 小吹隆文／福住廉／村田真／酒井千穂 |
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| 12/7〜12/8 |
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墨集団翔 Sho Sumi 三人展 遊離
12/1〜12/9 マキイマサルファインアーツ［東京］ |
新たな書の前衛たる「墨集団翔」の中心的な作家である川尾朋子、鈴木晶子、福西教之による三人展。皮膚アレルギーの触覚性を形象化しようとした川尾による墨のマチエールは複雑な重層性を描き、身体組織を顕微鏡で拡大したかのようなイメージを見せていた。
［12月7日（金） 福住廉］ |
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ヤノベケンジ展「トらやんの大冒険──ファンタスマゴリア」
12/7〜1/19 アートコートギャラリー［大阪］ |
今年8月に鹿児島県霧島アートの森で個展を行なった際に出版された絵本作品『トらやんの大冒険』の出版記念展。《トらやん》、直筆原画、ドキュメント写真、映像などに加え、新作の亀のシャンデリアを中心とするインスタレーションも発表された。先に開催された札幌、東京とは違うスペシャルヴァージョンになったのは、2003年の「メガロマニア」展（国立国際美術館）以来の個展となる地元へのサービスであろう。この絵本作品は、ヤノベが創作した物語と実際の制作風景をドキュメントした写真が交互に現われる虚実の二重構造が大きな特徴。さらに、物語には過去の作品から引用したキャラクターが多数登場する。ヤノベの意図は、過去から現在に至る自作を現在のテーマ「リヴァイヴァル」の下で有機的に統合することにある。私が見る限り、その目論見は見事に成功した。彼の構成力の高さ、ストーリーテリングの才能を改めて実感した。
［12月7日（金） 小吹隆文］
「アトムスーツ」を装着してチェルノブイリを訪ねた1997年から、ヤノベケンジが10年をかけてまとめあげた絵本作品『トラやんの大冒険』出版記念の大阪展。ある日、小さな太陽を拾ったトラやんが旅するなかで出会った仲間たちとともにそれを大きく成長させていくという物語の原画、主人公のトラやん人形、映像作品などのほかに、大阪では新作のインスタレーション《ファンタスマゴリア》も発表された。その赤い絨毯の空間には、リヴァイヴァルという制作テーマへの転換や絵本制作のきっかけにもなった、チェルノブイリの保育園で人形を拾い上げている写真も展示されている。絵本の朗読をはさみながら、今展に至るまでの活動を紹介する映像からもうかがえるが、なによりも作品に取り組む氏の誠実な思いと制作への真摯な姿勢が会場全体から響いてくるようで気持ちが揺さぶられる。じっくりと見たせいもあるだろうが、素敵なことを教わった気がしてうれしくなった。絵本の世界だけでなく、生き様というひとりのアーティストの世界を垣間みることができる展覧会だと思った。
［12月18日（火） 酒井千穂］ |
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田中広幸 展「集積体上の球体」
12/4〜12/16 ギャラリー16［京都］ |
テーブルの上に並べられた本はどれも開いた状態で置かれていて、それぞれからボコリと球体のかたちがのぞいている。くしゃくしゃのページにまるごと包まれたものもあるが、多くの球体には絵の具で海や陸が描かれている。言葉の宇宙のなかの青い地球だ。そのインスタレーションからは、文化とか文明とか、大きな時間の流れをイメージするような漠然とした言葉も浮かんでくるけれど、生きるうえでの希望を模索するという、日常のもっともリアルな感覚も連想させられる。茶色く変色した紙もそこに染み着いた匂い（実際に匂いがした訳ではないけれど）も、可能性という未来へのささやかな期待がそっと潜んでいるもののように見えた。
［12月8日（土） 酒井千穂］ |
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