小吹隆文/福住廉/村田真/酒井千穂 |
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12/18 |
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30年分のコレクション
12/18〜2/11 国立国際美術館[大阪] |
1977年に大阪府吹田市の万博記念公園にオープンした国立国際美術館の、開館30年を記念した展覧会。コレクション5700点の中から選りすぐりの400点で構成され、20世紀美術史を通観する内容となった。普段は作品の間隔をゆったり取る同館だが、今回は点数が多いこともあり敢えてぎっしり詰めるスタイルを採用。2つの展示フロアだけでなくロビーにまで作品が食い込み、まさにアートの「特盛り」状態となった。でも、コレクションをきちんと見せるのが美術館本来のあり方。いつもこれぐらいの規模で常設展示が行なわれ、なおかつ、もうワンフロア企画展示室が欲しいものだ。そんな贅沢な望みを喚起するような展覧会でもあった。
[12月18日(火) 小吹隆文] |
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俵萌子・増田妃早子「Drawing-Exposed essence 07」
12/10〜12/22 Oギャラリーeyes[大阪] |
「各作家のドローイングから、描くという行為の背景にある作家の在り方や対象の認識について考察する」と記されていた展覧会。ここでのドローイングは、ひとつの表現形式としてではなく「絵画の骨格または素描として」のものである。目に映るものの観察を何度も丁寧に重ね、見て描くという行為を繰り返す増田と、特定のイメージがあるわけではなく、描きたいという無意識の欲求や動作など、身体的な衝動から制作を行なう俵は、どちらも風景を描いている作家と言えるだろう。抽象的な画面の奥から風景が現われてくるような俵の絵画にいつも引き込まれる私は、彼女の思いや人物像がとても気になるが、やっぱりそれは解らなかった。けれど、制作の在り方も表現も対照的に思える二人の作品は、作り手自身についての想像をめぐらせ興味深い。
[12月18日(火) 酒井千穂] |
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「静物」才木寛之 展
12/17〜12/22 番画廊[大阪] |
深い色の木製の展示台に置かれた曲線的なフォルムの皮革の造形作品。纏まりのある展示によって全体的に落ち着いた雰囲気につつまれていたが、一点ずつに近寄ってじっくり見るとそれらはなんとも奇妙な形をしていて、強烈なインパクトであった。チューブからひねり出したときの絵の具の形状が真っ先にイメージとして浮かんできたが、こまかい皺が無数に刻まれた皮革の柔らかい質感や、部分によって色に微妙な違いがうかがえる表面をじっと見ていたら、腸や脳といった内臓の類いにも見えてきた。なまなましくて妖しげな感じもある。けれど不快な感覚というほどではなく、滑らかなその表面のもつ、いくつもの表情に目が釘付けになる作品だった。この得体の知れない魅力はなんだろう。
[12月18日(火) 酒井千穂] |
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荒川望 展
12/17〜12/29 CUBIC GALLERY[大阪] |
樹脂を染み込ませた和紙にアクリル絵の具で描いた作品を発表している荒川望。全体に薄いフィルターをかけたような独特の空気感をたたえた絵画。和紙の繊維の方向に流れていくような筆致や色彩が、心地良くもどこか儚くて心もとない印象を与える。描かれている風景も植物の花びらもも、水中にあるものを見ているような気分。
[12月18日(火) 酒井千穂] |
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