小吹隆文/福住廉/村田真/酒井千穂 |
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12/25 |
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遠い町──それぞれの記憶 上田順康・藤下友絵・板野久美子
12/20〜12/25 ギャラリー香[大阪] |
大阪で9月に個展をひらいていた板野の、雪に包まれた山のような、小高い丘のような、自然の地形や風景を彷彿とさせる凛とした力強さのあるそのときの陶作品が印象に残っていて、最終日に足を運んだ。3名の作家のグループ展だが、全体の作品数も多すぎるし、展示台や空間の壁などの展示環境がどうも雑然とした印象で、せっかくのテーマをもつ作品世界にいまいち集中できない。それぞれの魅力が発揮されていない気がして残念だった。それでも、板野の作品は、岩場や大きな川の流れる光景といったイメージを喚起して想像をかき立てる。次はぜひ個展で見たい。
[12月25日(火) 酒井千穂] |
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大塚泰子
12/1〜12/26 ケンジタキギャラリー[東京] |
チョコレート、ハンカチ、バスタオル……これらの共通点はなにかというと、四角くて平ベったい物体であること。だからこれらを描くには、キャンバスの表面にチョコレート色や白色を塗ればいいわけで。では、かたちのない空を描くにはどうすればいいのかというと、四角い立体の表面を空色に塗ってブルーキューブにすればいいわけで。実にシュルレアリスムとポップアートとミニマルアートとコンセプチュアルアートを足してフォーマリズムで割ったような欲ばりな絵画。
[12月25日(火) 村田真] |
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百花繚乱 展──芸能人・文化人による華やかなアートの共演
12/22〜1/8 上野の森美術館[東京] |
フジサンケイグループによるチャリティーキャンペーンの一環として、芸能人文化人による芸術作品を展示した展覧会。片岡鶴太郎や北野武をはじめ、藤原紀香、高橋英樹、鶴田真由、パパイヤ鈴木、藤あや子、松村邦洋など25名が絵画や写真などを発表した。すでに4つの美術館を持ち、売り方もこなれている片岡鶴太郎は別格として、全体的には金を取ってまで他人に見せる絵にはなっていない。鶴太郎が墨彩画を教える番組に出演した岩崎宏美や田中好子、仁科亜希子などは、鶴太郎の画風をそのまま受け継いでしまっているし、東京芸大出身の葉加瀬太郎は美術史の知識を動員したアクリル画を見せていたが、これも博学を証明するための絵にしかなっていない。北野武にしても、点描画は別として、シュールレアリスティックな絵は小さなモチーフに対して画面が大きすぎるためアンバランスな印象が否めない。そうしたなか、異彩を放っていたのは、阪神タイガースへの愛着から生まれ出た松村邦洋の豪快な水彩画や、奇妙で理解に苦しむキャラクターを巨大な画面に眼一杯描き出した安部麻美、暗い色調によって耽美的な自画像をあけすけに描写した五月みどり、デザインセンスの冴えを見せた日野皓正などだった。そして、現地の子どもたちとの集合写真に、ほぼすっぴんで映った藤原紀香の根性も見直した。
[12月25日(火) 福住廉] |
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