小吹隆文/福住廉 |
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3/15~3/20 |
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縄文──いにしえの造形と意匠
3/15~6/1 兵庫陶芸美術館[兵庫] |
縄文土器の分布は東日本に多いため、関西以西で縄文土器の大規模展が行なわれるのは大変珍しい。出品点数は土器、土偶合わせて約250点。うち国宝が2点、重要文化財が170点と質・量ともに非常に充実していた。十日町遺跡出土の火焔型土器や亀ヶ岡遺跡出土の遮光器型土偶など、教科書や美術書でしか見たことがなかった資料を前に、興奮を抑え切れなかったというのが正直な所である。会場の兵庫陶芸美術館はお世辞にも交通の便が良いとは言えないが、この内容なら動員アップが十分見込めるのでは。本展が美術館の自主企画で、巡回を一切しないのも興味深いところ。良質企画で成功する地方美術館の好例となってほしいものだ。
[3月15日(土) 小吹隆文] |
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東野哲史 展「WKM/○○」
2/23~3/16 Art Center Ongoing[東京] |
徹頭徹尾、乾燥ワカメにこだわった展覧会。極小の乾燥ワカメを人型に整え、それらを無数に壁一面に貼りつけるインスタレーション、各メーカーによる乾燥ワカメのパッケージを無限に増殖させていく映像、「サザエさん」に出てくるワカメちゃんの髪型のパターン、そしてコップの水につけて戻したワカメなどが展示されていた。水分を得ることで飛躍的に膨大する乾燥ワカメの特性に、増殖と反復に依拠する現代美術の作法が暗喩されていたようだが、そんなことより何より、その愚直で徹底した身ぶりが潔い。
[3月15日(土) 福住廉] |
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お帰り集団蜘蛛
3/11~3/30 GALLERY SOAP[福岡] |
60年代に活動していたローカル前衛芸術運動「集団蜘蛛」の回顧展。当時の扇動的なビラや、彼らが攻撃の対象としていた九州派の菊畑茂久馬の版画作品をメンバーの一人森山安英がそっくりそのまま完全に盗作した版画作品などを展示していた。
[3月20日(木) 福住廉] |
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第8回 21世紀の作家─福岡 和田千秋「障碍の美術X──祈り」
1/5~3/30 福岡市美術館[福岡] |
「障碍の美術」を提唱する和田千秋の展覧会。介助器具をそのまま展示するインスタレーションのほか、障碍児であるわが子を描いた平面作品などを発表した。以前はモノとしての訓練器具と文章によって意味のズレを生じさせる、いわば現代美術的な傾向が根強かったが、ここにきてストレートな描写の傾向が俄然強くなり、以前にも増して障碍の問題を視覚的に訴えかけているようで、その切実さが見る者を圧倒する。作家によるステイトメントや関連資料を緻密に網羅した図録もたいへん充実している。
[3月20日(木) 福住廉] |
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霜倉真二 写真展「水彩色」
3/15~6/1 ナダール[大阪] |
趣味のバス吊りの合間に写真を撮る霜倉真二。主に冬の湖面のさまざまな表情を撮っているのだが、極めて細密な描写と諧調のコントロールもあって、作品には一種現実離れした美しさが封じ込まれている。特に、鏡面のような湖面に映り込む木々や雲の表現は素晴らしい。聞けば「ゾーン・システム」というアンセル・アダムスやエドワード・ウェストンらが用いた技法を学んだのだとか。若手でゾーン・システムを使いこなす人に会ったのは初めてだったので驚かされた。
[3月20日(木) 小吹隆文] |
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