| 小吹隆文／福住廉 |
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214号◎横谷奈歩作品「静かな結末・共有する秘密」
7/25〜27 HOTEL T'POINT［大阪］ |
あえて「ART OSAKA」と同日程を組んだ本展。会場がホテルなのは同じだが、内容は全然違う。2006年以来、ホテルの一室を使用してインスタレーション作品を制作し続けているのだ。年に一度の公開に合わせて、作品は少しずつ更新される。今年は照明が明るくなり、森の中の廃墟を思わせる空間は、不気味さよりも静謐さを強調しているように感じられた。それにしても、この贅沢なプロジェクトはいつまで続くのだろう。できれば10年ぐらいのスパンで見続けたいものだ。
［7月26日（土） 小吹隆文］ |
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佐野史郎 写真展 あなたがいるから、ぼくがいる
7/25〜31 富士フィルムフォトサロン／大阪［大阪］ |
俳優の佐野史郎が写真展を開催。と言っても、自身の作品は約半分で、残りは明治から昭和に至る佐野家六代の家族写真である。代々医者の家系だった佐野家は大変裕福だったようで、写真には記念撮影や年中行事の様子、自動車やバイクで遠乗りした際の情景などが克明に記録されている。近代日本における地方の素封家のドキュメントとして大変貴重なものだ。ブルジョワの生活を記録した写真といえば、フランスのジャンク＝アンリ・ラルティーグが有名だが、佐野家はさしずめ日本のラルティーグといったところだ。
［7月26日（土） 小吹隆文］ |
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近藤聡乃 果肉
7/9〜8/9 ミヅマアートギャラリー［東京］ |
近藤聡乃の新作展。幻惑的なアニメーション「てんとう虫のおとむらい」を披露した前回とは打って変わり、今回は油彩の平面作品、数点を発表した。おもに朱と紺で塗り分けられた画面には、近藤の心象風景を思わせる世界が描き出されていたが、荒々しい筆致によって内面的な混沌を効果的に表わそうとしていたようだ。
［7月26日（土） 福住廉］ |
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KYOTARO 天界トリップ
7/9〜8/9 ミヅマアートギャラリー［東京］ |
天馬や竜、天狗など神話上のモチーフを鉛筆で描くKYOTAROの新作展。細部を微細に描きこむ執拗さと、キャンバスをはみ出し壁面にまで描き出す運動性が魅力的だ。ポピュラーミュージックにおいても叙情詩的なモチーフが注目を集めているが、神話をはじめとする超越的な世界を待望するメンタリティが広まっているのかもしれない。
［7月26日（土） 福住廉］ |
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10 years after...
7/24〜8/2 Ottomainzheim Gallery［東京］ |
武蔵野美術大学彫刻科出身の鈴木光と芳賀龍一の二人展。芳賀は地上のゴミ箱に投げられた空き缶を地下の会場に誘導し、壁に向けて弾き飛ばす工作機械を作った。鈴木は自分の父親の素性を追跡するドキュメンタリー映像を発表。父の仕事の内容をまったく知らないまま美大を卒業した鈴木が、その真の姿をつまびらかにしていく様子は、感動的だ。そこで明らかになったのは、まったくアーティストではないにもかかわらず、アーティストである鈴木以上に、ある意味でアーティストというほかない、超人の佇まいである。「アーティスト」とは何なのか、それをもっとも身近なところから考えようとする、自己言及的な映像作品で、大きな衝撃を受けた。ぜひ他の会場でも発表してほしい。
［7月26日（土） 福住廉］ |
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