小吹隆文/福住廉 |
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8/8〜8/10 |
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浅田政志 写真展「浅田家」
8/7〜13 大阪ニコンサロン[大阪] |
大阪では一昨年の11月以来の個展。写真集の発売に合わせたプロモーション的意味合いも含めた発表だ。浅田といえば、家族総出でさまざまな職業やシチュエーションに扮したコスプレ記念写真。改めて作品を見比べると、最初はやらされていた感じの家族がだんだん積極的になっていくのが興味深い。特にお母さんのノリのよさが顕著だ。記念日だから撮るのではなく、自分たちで記念日を作っていくポジティヴな家族関係も、現代を考える上で示唆に富んでいる。
[8月8日(金) 小吹隆文] |
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開館20周年記念 コレクション+ひびきあう音色形
7/25〜9/7 高松市美術館[香川] |
音を用いた作品で知られる藤本由紀夫、和泉希洋志、金沢健一の3人が、館蔵品との組み合わせでそれぞれの世界を作り上げた。藤本は、「see-hear」、「哲学的玩具」といった自作のキーワードの下、4セクションからなる交響楽のような世界を提示。和泉は杉本博司やチャック・クロースらの作品と、彼らの肉声を加工した自作をセットにし、金沢は「音のかけら」、「振動態」のシリーズを若手・中堅の国内作家と組み合わせた。藤本と金沢に挟まれた格好の和泉は、自身の作品の音量が小さかったこともあって割を食った感も。また、本展の冒頭に奈良美智の絵画と素描によるコーナーがあったが、ここだけ上記3人とは切り離されていたように見え、企画意図との整合性が捉え難かった。
[8月10日(日) 小吹隆文] |
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民衆の鼓動 韓国美術のリアリズム 1945-2005
7/5〜8/24 府中市美術館[東京] |
1980年代の「民衆美術」を中心に、韓国のリアリズム美術を体系的に見せる展覧会。社会的・政治的な意識をもとに作られた作品が一挙にそろった展示は圧巻だ。生々しい息遣いが聞こえてくるかのような作品を見ていくうちに思い至るのは、美術をめぐる社会的状況のちがいはあるにせよ、ついに「民衆美術」が根づかなかったこの国の風土である。政治の季節の終焉は、民衆をたんなる「消費者」に作り変え、美術作品から政治的社会的な主題を退かせた。消費行為を革命的主体を回復させる手法のひとつとして正当化する言説もなくはなかったが、消費行為そのものが地盤沈下を起こしている今となっては、もはや望むべくもない。福岡アジア美術館の黒田雷児は、韓国の民衆美術が成熟している要因として、伝統的な民衆芸能の要素を積極的に取り入れている点を挙げているが、これは重要な指摘である。民衆美術を再生するには、ストリートでの実践を繰り返すことはもちろん、それ以上に、もともと私たちが持ち合わせている芸能的な感覚や手法に学ぶことが不可欠ではないだろうか。「美術」というジャンル自体が他の近接領域との融合を果たしつつある今では、なおさらである。
[8月10日(日) 福住廉] |
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