小吹隆文/福住廉 |
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9/28〜9/30 |
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スタジオジブリ・レイアウト展
7/26〜9/28 東京都現代美術館[東京] |
数年前から「日テレ木場支店」と化したといわれて久しい東京都現代美術館の夏休み恒例、ジブリの展覧会。じつにおびただしい来場者が眼を輝かせて訪れているのとは対照的に、展示の内容は惨憺たるありさまだ。鑑賞経路が無駄に複雑なうえ、壁面にレイアウト画をところ狭しと押し込んでいるため、見にくくて仕方がない。しかもレイアウト画の単調な絵面が延々と続くから、いかにジブリのファンといえども、さすがに飽き飽きしてくるようだ。大衆芸術を美術館に取り込むのは、まだいい。けれども、そのときこそ、展示のプロたる学芸員の力量が問われるのではないか。宮崎駿や高畑勲は、みずからの作品がこのようなかたちで展示されている現状をどのように考えているのだろうか。
[9月28日(日) 福住廉] |
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アジアとヨーロッパの肖像 SELF and OTHER
9/30〜11/24 国立国際美術館[大阪] |
アジアとヨーロッパ18ヵ国の博物館・美術館が共同企画した国際巡回展。それぞれの地域の人々が自己をどう捉え、互いをどう認識してきたかを、絵画、彫刻、陶芸、染色、写真、映像などの作品で紹介している(関西では国立民族学博物館と国立国際美術館の2館が会場だが、私が見たのは国立国際美術館のみ)。展示品の点数、質、バラエティの全てが豊かで、表現の歴史的推移もよく理解できた。大いに満足と言いたいところだが、一抹の物足りなさも残ったのもまた事実。大規模な国際巡回展だから目の醒めるような新機軸を打ち出してくれると思ったのに、それが感じられなかったからだ。今後の美術を予見するぐらいまで踏み込んでほしかったのだけど、18ヵ国の専門家が顔を揃えてもそれは無理な相談なのだろうか。
[9月30日(火) 小吹隆文] |
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山下清澄 銅版画展
9/26〜10/14 アートゾーン神楽岡[京都] |
山下清澄といえば、初個展で三島由紀夫と森茉莉が賛を寄せ、寺山修司やマンディアルグと詩画集を発表したこともある版画の巨匠。恥ずかしながら初めて実物を見たのだが、その緻密な技巧と奔放に飛躍するイマジネーションに、文字通り圧倒された。60代後半でまだこれだけ密度の濃い仕事が続けられるのだから大したものだ。女性、動植物、建築、装飾が複雑に絡み合う世界はまるで迷宮のよう。見れば見るほど発見があって、いつの間にかその耽美的世界に絡め取られてしまった。
[9月30日(火) 小吹隆文] |
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