竹久侑: 2008年9月アーカイブ

はじめて大垣に降り立った。
前日、大垣ってどこですか?とも聞かれた。
大阪出身の私にしては、京都線(?)の終点だったりもしたので聞き知ってはいたけれど。

経由した名古屋は東京並みの人で朝から駅構内はごった返していた。岐阜を経由して名古屋からだと電車で30分くらい。岐阜を過ぎるとき、日比野克彦さんと大巻伸嗣さんのことを思い出した(おふたりとも水戸芸術館でのつぎの展覧会「日常の喜び」の出品作家で岐阜出身)。岐阜の駅周辺が開発されてずいぶん変わってしまったと、こないだ話をしていた、その岐阜を過ぎる。当然、車窓からはよくわからない。

大垣に降り立つ。駅構内を出たところからちゃんとビエンナーレの案内看板が出ていた。最初の作品展示場所では、ちょうど作家さんもいて丁寧にいろいろ見せてくれる。一緒にそこに居合わせたスタッフらしき方も親切にいろいろ教えてくれる。大垣ビエンナーレはこういうところか、と思った。
規模や目的を考えると比較するのに無理があるけれど、前日に行った横浜トリエンナーレとは出品作家や運営側と客との距離がずいぶん近い。町は日曜日だからか、ずいぶんシャッターが目立つ。これも地域格差のあわれか? 水戸もひとごとではないけれど。

作品ひとつひとつうんぬんというよりも、全体の体験としておもしろい企画だった。もちろん美術展である限り、作品がメインであることは当然だけれど、街中で行われるこうしたアートプロジェクトは、作品単体としての価値だけを論じてもどうかと思う。これはミュンスター彫刻プロジェクトを見て歩いたときも思った。
作品を見ている時間よりも町を歩いている時間の方が多い場合だってある。作品を求めて歩くときにたまたま見える町の特徴についても遠くからの来訪者はいろいろに感じるもの。

そういう意味で、どのようにルートをとるか、作品・会場の場所決めはやはり重要。それからスタッフや、会場となっている店舗の店員さんとの会話。ランチのおいしさとかそういうことをぜんぶひっくるめて、街中アートプロジェクトの体験となるわけです。

あぁ、カフェ・イン・水戸オープン間近。
清澄白河は土曜日となればけっこう人が来る。オープンしたのは2005年11月。東京のアートスポットとして確立した感。
お目当ての泉太郎「マジシャンのパン--日食」。
あんまり事前に何も想像せずにやって来た。
手前の、泉さん自身のものだろう服を見たときからなんかいつもの泉さんとは違う予感。
泉さんっぽさはいたるところにあるのだけれど。。。。
ギャラリーのなかほどまで行って、そのことを確信。
カメラとモニターが何台もつなげられ、そこでカメラがとらえた現実が、泉さんのしつらえたつりもの越しにモニターに映りこみ、それがまたつぎのカメラへとつながっていく映像の重複と連鎖のインスタレーション。とてもシンプルな仕組みだけど、映像の「像」の部分をつきつめているというか。
ずっと映像作品として映像をつくっていた泉さんがインスタレーションのデバイスとしてカメラをつかっていた。泉太郎健在。

横浜トリエンナーレ。
オープニングの日には見きれなかった、飛び地にある三渓園がおもしろいという話を聞いて行ってみた。

根岸駅が最寄とある。石川町を過ぎたあたりから景色が一変し、高層ビルや中華街があった中心地から住宅街に突入。まわりにトリエンナーレ目当てらしき人も見かけずちょっと不安になる。駅で降りると案内でも立っているのかと思ったが。。。
駅員さんに聞くと、1番乗り場からバス乗って。降りるバス停はバスの運転手に聞いて、と。バスの運転手さんに聞くと、本牧というところで降りると、そして歩いて10分! そんなに遠いの?!
歩いて行くと、きもちいい住宅街で散歩に悪くない。そして三渓園近くはお土産店があったりして観光情緒も。入って見ると、美しく気持ちのいい庭園だった。横トリの作品がある場所は公園のなかでもそれなりに固まっている。そのあたりでは横トリの客と三渓園の客が半々くらいで混在。そんななかティノ・セーガルの作品「キス」(2002)はとても無防備に見えた。美術を前提としていない日常の場で行われると、見ている方も数倍ドキドキする。しかも場所が家。リアル感がある。リアルとフィクションのはざまを揺れる。
あっ、泉太郎さんの個展が終わってしまう!ことに作家からの連絡が携帯に入って気づく。そしてオープニングに行きそびれた梅田哲也さんが出品している大垣ビエンナーレも今週末で終わる。そして前から気になっていたYCAMでの大友良英さん個展。
思い切って週末を使って3日間出張に出ることにした。
カフェ・イン・水戸2008のために、大巻さんが作品制作のために週末の2日間スタッフの方々と現地入り。ボランティアスタッフも出動。

2日目は早朝3時まで黙々と制作。かなりハードな仕事ぶりだった。

おかげさまで作品はゴージャスに仕上がり、
この作品が街中に現れると水戸の人は喜んでくれるだろうことを確信。

設営は10月5日。

空き店舗スペースに命を吹き込む展示となる。
本日、水戸芸術館で開催中のジュリアン・オピー展の関連企画で、講義をする順番だった。
はじめての講義。
自分としては及第点ぎりぎりな感じだったけれど、無事に終了。
1週間の緊張が解けて、ほっ。

はじめて司会をしたときもそうだったけど、はじめてというのはいつも緊張する。
でも、「はじめて」さえ済ますと急に平気になるのが恒例。
これで講義もこれから平気になるといいな。

筋肉痛

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ずっと通っていたスポーツジムが閉鎖して、水戸の行く末を危ぶむ。
それで昨日ヨガスタジオに通い始めた。
最初の10分から、これまでのヨガ体験とはちがう。つまり本格的。
「これ、ウォーミングアップですから」とインストラクターの先生は微笑む。
そして今日はやっぱり筋肉痛。
空港からも電車で楽々市内へ。すばらしいインフラ。
そして多民族の混在が、気持ちを楽にさせてくれる。

はたからはとっても好景気に見えるシンガポール。
信じられないほど多くのクレーン車が港湾地区に立っていた。
そして、海には、サッカースタジアムがぽっかり浮かぶ!
シンガポールの都市計画の大胆さには舌を巻いた。

肝心のビエンナーレのレポートは、
来月発売のBTに寄稿します。
よろしければ立ち読みなどしてください。

空港からの水戸行へのバス待ちの間に、シャワーを浴びてリフレッシュ。
午後には仕事に戻る。

はぁ。

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おととい=
「日常の喜び」のために、ガイ・ベンナーの映像作品の字幕の扱いについて打ち合わせ。
児玉画廊に、半田くんの新作を見に行く。意味はよくわからないのは前からかわらないが、意味はさておき楽しい気持ちにさせてくれる作品。
「日常の喜び」のために、梅佳代さんと展示の打ち合わせ。
そのあと、「カフェ・イン・水戸2008」の関連事業として、てぬぐいをデザインしていただくことになったひびのこづえさんと打ち合わせ。
その後、ある展覧会のオープニングに顔を出し、日比野さんと合流して、おいしい韓国料理をいただく。

きのう=
藤浩志さんが来水。
「カフェ・イン・水戸2008」では関連事業として、藤さんが2000年から展開し、たくさんの人がかかわることで有機的に進化してきた<かえっこ>について、関係者と興味のあるひとびとがあつまってじっくり話をする初めての機会をつくる。その名はずばり「かえっこフォーラム2008」。11月8日、9日の両日。(要申込)
その傍らで、藤さんの<かえっこ>のつぎの展開となる<かえっこ屋>もオープン!
<かえっこごっこ>もするし、館内では同時期の「日常の喜び」で<かえっこ>であまったおもちゃのパーツを素材にしてインスタレーションも展示。
水戸の11月は藤さん盛りだくさん月間。

ところで、まことくんの描いた大きなクラゲの絵は絶妙だったなぁ。

きょう=
朝から内部や作家との会議の連続。

ガイ・ベンナーの映像作品の字幕チェックを入れていて、やっぱりおもしろすぎてまた笑ってしまう。「日常の喜び」はガイを日本の美術館がまとめて紹介する初めての機会。この機に、オープニングイベントとしてガイにトークをしてもらうことに。今から楽しみ。

森田浩彰さんが、「日常の喜び」のための新作撮影続行のために来水。これで何度めかわからないほどに森田さんは今回を機に水戸に来ている。スズメバチにさされないように気をつけてくださいね。
明日は、新作のサンプルを見せてもらえる。

中村政人さんも打ち合わせで来水。少し街を歩いた後、みんなではやめの夕食を水戸自慢のお店でとる。

そんななか、内部では来年度の企画のつめをせねば、ということになり、いったいぜんたいいつやればいいんだ?と心のなかで叫ぶ。

ブロガー

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