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展覧会レビュー
村田真/原久子
1/6-1/14
Media City Seoul 2004
2004/12/15〜2005/2/6 ソウル市立美術館[ソウル・韓国]
ヤノベケンジ
ヤノベケンジ
上:ヤノベケンジ作品
下:資料コーナー
今回で3回目を迎えたソウルで2年に1度開かれているメディアアートの国際展。テーマは「digital Homoludens-GAME/PLAY」。日本からはキャンディファクトリーの古郷卓司が参加。山口で昨年出品した《Audience》を出品。ヤノベケンジは《森の映画館》を出品。いずれの作家も出品作品を指定されていたようで、過去にほかの展覧会で観た作品がいくつかあった。オーストラリアで昨年開催された「2004展」でも上映されていた顔に粉や液状のものを投げつけられるMarcus Lyall の作品も出品。世界中のメディアアート関連機関の資料コーナーなども設けられていた。入口にあったツァボリック・キスパルの映像インスタレーション《Edging》は、空を飛ぶ鳥の映像が編集され、鳥が画面の隅にかかったところでピンボールのように跳ね返えされる映像作品だ。ピンボールマシンのような音がついていて、会場で最初に目に入ってきたというインパクトというのもあろうが、印象に残った。
[1月6日(木) 原久子]
ジェニー・ホルツァー展
2004/12 /10〜2005/1/23 Kukje Gallery[ソウル・韓国]
文字言語をLEDの点滅や電子掲示板の仕組みを利用し、次々と言葉を流してゆくような作品形態ですでによく知られるジェニー・ホルツァー。以前は街角でのプロパガンダのような作品をつくっていたが、そういう作品は最近では少なくなったようだ。暗転した画廊空間での3作品は、いずれも、それぞれの部屋に「完璧」につくり込まれていた。
[1月7日(金) 原久子]
ク・ジャヨン「B_it」/アン・スジン 「Metronome」
12/10〜1/16 イルミン美術館[ソウル・韓国]
東亜日報のイルミン美術館の1階ではク・ジャヨン「B_it」、2階ではアン・スジン 「Metronome」、それぞれ個展が開かれていた。ク・ジャヨンの映像インスタレーションは、そこに男性がいるかのように、実際に展示室の隅に設置された箱状のライトボックスも関連づけ、壁に投影された等身大の人の行為を追ってゆく。カタログは連続した映像のコマを1枚ずつのページにおとしてフリップブックにしているので、動画を見ることが可能。アン・スジンはなぜその作品がつくられたのか、作家の意図や歴史的、社会的事実を理解していないとわかりにくいところがある。壁をはさんで左右に翼があり、それが動く作品。おもちゃのショベルカーが宙で向かい合ってショベルを動かし、その機械の軋む音が金属のラッパ型のものを伝わって響いている。シリアスな問題を扱っているが、バックグラウンドがわからなくても、見た目がなかなか魅力的。
[1月7日(金) 原久子]
タイトルマッチ3回目、イ・ゴニョン対コ・スンウク展
1/7〜2/17 サムジースペース[ソウル・韓国]
60年代から活躍するアヴァンギャルドな作家と、若手アーティストとの2人展。韓国の味噌のような茶色いスパイスを壮年アーティストが、赤いケチャップを若手作家が、向かい合って座り、それぞれに塗ってゆくというオープニングパフォーマンスを行なった。過去に行なわれたパフォーマンスを伴う実験的な絵画の記録があるのだが、それをカバーした作品も出ている。年上の人を敬う儒教の教えに従う韓国ならではという部分や、それを自ら皮肉ったような部分もあった。
[1月8日(土) 原久子]
日中韓若手美術家展
200411/24〜2005/1/23 国立現代美術館[ソウル・韓国]
地下鉄でソウルの中心部から約30分。美術館までのシャトルバスで山道をのぼってゆくと美術館がある。この美術館は常設が充実している。企画展示は、韓国、中国、日本の3カ国の若手アーティストのグループ展が開かれていた。日本のほうは若手といっても中村哲也、川島秀明、ヤノベケンジなどすでに知られた作家たちが出品。ただひとり京都のムラギしマナヴが未だメジャーとはいえない作家だが、写真や映像、大型のタブローが多い出品作品のなかでは、かなり異色。
[1月8日(土) 原久子]
痕跡
1/12〜2/27 東京国立近代美術館[東京]
痕跡
ルーチョ・フォンタナの切り裂き、ロバート・モリスのフェルト、ヘルマン・ニッチやオットー・ミュールの血まみれパフォーマンス、ジョルジュ・マチウのアクション・ペインティング、それに触発されたギューちゃんのボクシング・ペインティング、榎忠の《ハンガリー国へ半刈で行く》……。なつかしいなあ、30年くらい前まではこんなのがどんどん出てきて、いったいアートはどうなっちゃうのか心配というか楽しみだったけど、いまとなっては兵どもの夢のあと。夢のあとだからこうして美術館でその「痕跡」をとりあげてくれるのだが、逆に夢のあとだから入場者も少ないに違いない。だって、どうせなら夢の痕跡より夢そのもの=イリュージョンを見たいもの。
[1月12日(水) 村田真]

榎倉康二展
1/15〜3/21 東京都現代美術館[東京]
榎倉康二
予備校時代のデッサンも出ていて、18歳の自画像なんかばっちり面影が残ってるけど、本人が生きてたらこんなの出したがらなかったんじゃないかな。もっとも生きてたらここで個展を開くこともなかったかもしれないけど。初期の試行錯誤時代に比べて、後半の綿布を使った《干渉》シリーズなどの展示は、充実してるともいえるが冗長な感じがしないでもない。結局、榎倉さんの最高傑作は《予兆》などの写真じゃないかしら。
[1月14日(金) 村田真]

MOTアニュアル2005 愛と孤独、そして笑い
1/15〜3/21 東京都現代美術館[東京]
MOTアニュアル2005
笠原美智子の企画による10人の女性作家展。なぜか後ろめたい気分にさせられる出光真子と嶋田美子の作品をはじめ、自虐的にキャラ立ちする澤田知子のセルフポートレート、異様に惹かれるイケムラレイコの絵画、会田誠と結婚以来お笑いに走る岡田裕子の映像など、いろいろ。圧巻は、溝口彰子O.I.C.の《私の愛する男は私の中で射精する。精液が体の中に流れていく。いつもこの瞬間、一番、生きているのだと思う。》。タイトルも直截だが、屹立する男根(というか膣?)に赤い光がリズミックに脈打つさまはセックスそのもの。といってもティレシアスではないので女の快感はわからないが。
[1月14日(金) 村田真]
 
Index
1/6-1/14
Media City Soul 2004
ジェニー・ホルツァー展
ク・ジャヨン「B_it」/
アン・スジン
「Metronome」
タイトルマッチ3回目、
イ・ゴニョン対コ・スンウク展
日中韓若手美術家展
匠の旅
痕跡
榎倉康二展
MOTアニュアル2005
愛と孤独、そして笑い 
1/15-1/18
BankARTスタジオNYK
日下部一司展
米田知子
アーティストトーク
震災復興10周年記念国際公募展「兵庫国際絵画コンペティション」
ミラルダの仕事とフードカルチャーミュージアム
しんげんち
愛・地球博アートプログラム「幸福のかたち」展 
佐藤時啓展
1/19-1/20
PROJECT THE PROJECTORS
アート・ミーツ・メディア
日本人アーティストによる近作・新人展 
栗Michel VERJUX ミシェル・ヴェルジュ 新作展
アジア美術について語ることを語る
1/21
高浜利也「移動計画」
池田龍雄展 
赤塚佑二展
古賀飛展
原口典之展 
彦坂尚嘉新作個展/
《気》の美術 
李朝の民画 
上野茂都展 
1/21
愛国 recent works 
柳根澤展 
板東正章展 
リフレクションズ/
スゥ・ドーホー展 
1/21-1/22
長島有里枝展
Candy Horror
Project the Projectors 
河井寛次郎常設展
Move on Asia
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