小吹隆文/福住廉 |
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11/2-11/6 |
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素景 −陳若冰 平田五郎 尹煕倉−
10/27〜12/24 資生堂ギャラリー[東京] |
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平田五郎の蝋製の家は、鑑賞者を白くて狭い空間の内部で閉じこもる体験に誘う、きわめて自閉的な作品だ。四方八方を茫漠とした白に覆われた環境に身を置くと、最初は非日常的な解放感を味わえるが、徐々に胸の奥から自分を見つめているような錯覚に陥り、それがある種の痛みをもたらす。ただ、今回の作品はワンフロアの単純な構造だったせいか、かつての同じ作品に見られた、複層的で狭い内部をくぐり抜けていく身体経験の高揚感はさほど感じられず、ドラマティックな展開の面では、ややあっさりとしていた。
[11月2日(木) 福住廉] |
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加藤寿彦展「Geometric Reality」
11/3〜12/24 ギャラリー夢創館[兵庫] |
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ポリゴンでできた一昔前のCGがそのまま現実世界に越境してきたかのような立体作品を出品。制作法は、コンピュータ上で造形したデータを建築用のCADで平面図に展開、その図面を元に紙をカットし糊付けしているそうだ。デジタル環境で造形されながら最後の詰めは極めてアナログな手作業に負っている点、一見強固に見える造形物が実は紙という薄っぺらな素材で出来ている点、二重のギャップが作品に豊かな奥行きを与えている。多角形の連なりと照明が作り出す陰影の美しさも印象に残った。
[11月3日(金) 小吹隆文] |
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OHKA43-bバーニング
11/5 滋賀県立近代美術館〜比叡山高校[滋賀] |
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滋賀県立近代美術館で開催された『中ハシ克シゲ展』で公開制作された実物大の特攻専用機《桜花》を焼却するイベント。ボランティアや有志ら数十名で美術館から運び出された作品は、半ば無理やりバスに乗せられ比叡山高校前へ。最後は高校生の応援も得て最後の急坂を登り切り、夕闇迫る中、作品に火が放たれた。綿密な調査や関係者へのインタビューを通して公の歴史とは異なるオルタナティヴな歴史(=記憶)を紡ぎ出そうとするこのプロジェクトで、バーニングには「参加者全員が記憶を共有する役割がある」と中ハシは言った。その言葉は本当だった。そして皆の記憶を昇華・統合する火の力を改めて実感した。
[11月5日(日) 小吹隆文] |
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ヨシダミナコ写真展「かしこ」
11/6〜18 アーリーギャラリー[大阪] |
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昨年開催された個展「拝啓 貴方様」で誰かを愛する事の切なさを綴ったヨシダが、その続編となる作品を発表。愛する人との別離、或いはそれを前にした心境を、鳥取の風景を通して描き出した。人気のない部屋や風景が伝える恋人の不在、遠い空や海を見つめる自身の視線など、一人称のショットの積み重ねが醸し出すセンチメンタリズムが印象的。写真集を前提とした2点1組(=本の見開き)の展示法もユニークなものだった。会場には39点からなるポートフォリオも用意されていたが、こちらの方がさらに魅力的だったことも付け加えておきたい。
[11月6日(月) 小吹隆文] |
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