村田真/酒井千穂 |
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2/1〜2/8 |
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アートは心のためにある:UBSアートコレクションより
2/2〜4/6 森美術館[東京] |
世界50カ国にオフィスを構えるグローバルな金融企業UBSの、1,000点を超すコレクションから選ばれた約140点の展示。サンドロ・キア、フランチェスコ・クレメンテをはじめ、チャック・クロース、フィリップ・ガストン、ルシアン・フロイド、アレックス・カッツ、ゲルハルト・リヒターなどバリッとした絵画もあるけど、目立つのは写真だ。とりわけアンドレアス・グルスキー、カンディダ・へーファー、トーマス・シュトゥルートらドイツのピリッとした写真が圧巻。日本人作家も5人(荒木経惟、畠山直哉、宮本隆司、森村泰昌、杉本博司)入っているが、全員写真。あちらの人から見れば日本人のペインティングなどヘみたいなもんだろう。個人的におもしろいと思ったのは、消える絵画のオスカル・ムニョス(コロンビア)や、地図を描くギリェルモ・クイトカ(アルゼンチン)ら、ボルヘスの迷宮世界に通じる南米のアーティスト。
[2月1日(金) 村田真] |
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美術展〜自分を見つめて〜
2/1, 2 東洋英和女学院小学部体育館[東京] |
にこブーの小学校の展覧会。そんなもん天下のアートスケープに載せるなよとのブーイングは覚悟のうえで、意外な発見があったので書くことにした。粘土細工や箱庭療法みたいな工作などいろいろあるなかで、圧巻だったのが壁一面を埋めつくす全生徒の自画像。おそらく芸大の卒業制作にヒントを得たんじゃないかしら。おもしろいのは1学年1列、計6列に並べてあるので学年ごとに比較できること。画面に占める顔の割合は1年生がいちばん高く、約5割を占め、学年が上がるごとに低くなり、6年では5分の1以下になる(平たくいえば顔がだんだん小さくなる)。また、1年と2年のあいだに大きな進化があり、4年生あたりでもういっかい進化を遂げるようだ。進化といっても観察力と描写力が上がるという意味で、絵としてよくなるとは限らず、むしろつまらなくなる傾向にある。ここから芸術と年齢に関する公式が導き出せないかなあ。
[2月2日(土) 村田真] |
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川俣正[通路]
2/9〜4/13 東京都現代美術館[東京] |
この「通路」展、ベニヤ製の通路以外にも、過去の作品写真やマケット(通路っぽいもの)、各種ラボ、展示室内にもかかわらずビールも飲めるカフェ、週末のトークと寄り道ネタがテンコ盛り。なかでも注目したいのがアーカイヴだ。館内の一室を借りて本棚を並べ、川俣がこれまで出した数十冊のカタログやパンフ、記事になった新聞や雑誌、写真やビデオによるドキュメント、展覧会やプロジェクトごとにファイリングされた厖大な資料類がびっしりと並ぶ。ファイルにはメモやスケッチから、プレゼン用企画書、主催者側とやりとりしたファクス、領収書まで入ってるらしい。これはすごい。彼は最初から歴史に残る(残す)決意でやってきた明らかな確信犯なのだ。で、「通路」展が終わってからこのアーカイヴはどうなっちゃうのか、まだ決まってないんだって。
[2月8日(金) 村田真] |
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