村田真/酒井千穂 |
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2/1〜2/8 |
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第11回岡本太郎現代芸術賞展
2/9〜4/6 川崎市岡本太郎美術館[神奈川] |
太郎賞はKOSUGE1-16の、自転車をこいで模型の自転車を動かし競い合うゲーム。インタラクティヴでアナログな参加型作品だが、動いてないときは粗大ゴミだ。敏子賞は上田順平による極彩色の陶器。特別賞の3人はいずれも映像を使っている。そのうちのひとつを見ていたとき、プロジェクターの故障で映らなくなった。映像作品も消えればただの箱と壁。だから映像はいやなんだよ。
[2月24日(日) 村田真] |
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落直子 展
2/19〜3/2 VOICE GALLERY pfs[京都] |
ペン先0.1ミリという細かい線が集積する青いインクのドローイング。よく見るとさまざまな花や鉢が描かれていて、それらの小さな図形が余白をもちながら増殖するように展開している。全体を見ると、それが険しい山や滝の風景を成しているように見えて不思議。まるで染め付けの器のように青い色の濃淡が美しいが、すべて同じペンで描いているという。有機的なモチーフがねじれるように広がっていく画面を集中して見ていると、平衡感覚が狂っていくような気分にもなる。流れるような線と余白の絶妙なバランスに気持ちを引き摺られる魅力があった。
[2月24日(日) 酒井千穂] |
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呉夏枝 個展「織目をすりぬけていくもの〜沈黙の時〜」(フィリンピンでの旅から)
2/9〜3/2 VOICE GALLERY w[京都] |
縦糸に横糸を織りこみ、一枚に仕立てた布が窓に面した壁から吊られ、床面に広がるようにインスタレーションされた空間。窓から差し込む光に薄い布が透けて、横糸の織られていない(縦糸だけの)部分や、縦糸と横糸の重なりが遠目にも確認できる。糸と糸の隙間、織りの密度、やわらかい質感など、一定のリズムを保ちながら、細い糸のつながりや境界を見せるそれらの要素が、記憶、時間、存在といったものの関係の果敢なさを感じさせてやまない。けれど、物体の存在感で観る者を説得するような暑苦しさはなく、さりげなく言葉を紡ぐような繊細な表現がみごとで素敵だった。
[2月24日(日) 酒井千穂] |
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大阪成蹊大学芸術学部卒業制作展
2/20〜2/24 京都市美術館[京都] |
夜の世界に迷い込んだ小さな蝶が大きな蛾(夜の蝶)に出会う物語を、飛び出す絵本のスタイルで発表していたデザイン学科のなかじまあいの2冊の作品に魅了された。立体的に立ち上がる蝶の羽や花の細工もさることながら、ページをめくったときに立体的に起き上がる部分や紙面が、レース編みのモチーフや、テキスタイルの模様のカラーコピーなどで構成されていて色彩もデザインも美しい。ほかに、夢のなかのストーリーを新聞紙を用いて絵にした下堂真理子の「ユメのはなし」、美術工芸学科の村上由佳乃の繊細ながら存在感あるガラス造形など、才覚を感じる作品がいくつも見られた。
[2月24日(日) 酒井千穂] |
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マスジョ展「スナノオンナ」
2/11〜2/24 Neutron[京都] |
鳥取県出身のマスジョの本名は増田祝子。その二つの事実が、神話や古来からの伝説への興味、そして自らの作品にダイレクトに結びついている。今回の個展では、円形のパネルに岩絵の具で描いた絵画、鳥取砂丘の砂、鏡を用いたインスタレーションを展開。古代から魔力を持つものとして扱われた丸い鏡を削って描かれているのは、作家自身の泣き顔だと教えてくれたが、砂に少しだけ埋もれた鏡にはいくつもの意味が込められていた。タイトルのとおり、もちろん安部公房の著作とも関係がある。砂で茶碗を洗う場面が自らの日常のイメージと重なるというマスジョ。強く激しい感情を感じさせるが、同時に不安定で心もとない雰囲気に包まれたその作品に惹かれるのは私だけじゃないだろうな。
[2月24日(日) 酒井千穂] |
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