村田真/酒井千穂 |
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2/1〜2/8 |
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公募・京都芸術センター2008:大崎のぶゆき「Meltdown」/宮永愛子「漕法」
2/8〜2/26 京都芸術センター[京都] |
毎年行なわれている若手作家を対象とした展示プランの公募。今回は国立国際美術館長、建畠晢氏によって選出された、大崎のぶゆきと宮永愛子がそれぞれのプランを発表した。日常のリアリティの不確かさにアプローチする大崎は、ペンで描いた星座のイメージが水面に溶け崩れる映像作品とともに、蝋を素材にしたシャンデリアのオブジェを出品。色が流れて散らばっていくような映像作品も美しいが、空間の湿度や温度の影響を受けて原形が微妙に崩れていくというオブジェの密やかな要素が、曖昧で不安定なものへの想像をいっそうかき立てる。宮永は、留学先のエジンバラから帰国してすぐに五島列島まで足を運び、漁網を編む技術を学んで今回の作品に挑んだ。天井から吊るされ、空間いっぱいにインスタレーションされた漁網は、会期前半の公開制作で編み込んだもの。海水を染み込ませ、結晶化させた塩が付着している。編むという作業と、触れると網からはがれ落ちてしまう塩の結晶が、時を紡ぐ物語のように広がる。聞けば、海水は一カ所で採取したのではなくあちこちから運んだのだという。「採ってきた場所は違うけど海はひとつだよ」という言葉が印象的だった。
[2月16日(土) 酒井千穂] |
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景色のはじまり
2/16,17 京都市伏見区深草[京都] |
陶器の表面の釉薬にヒビがはいる時に音が鳴る、貫入という現象。宮永は貫入が起こる「時間」をとりこんだ作品を2005年に京都のギャラリーで発表しているが、京都芸術センターでの展示に合わせ、今回はそれをサイトスペシフィックというアプローチで展開。小池一子氏が監修したこの企画の会場は、作家が幼い頃より慣れ親しんだ、陶器窯のある工房。さまざまな陶器が並び、箱が積み上げられた薄暗い建物の中に案内され、耳を澄ましていると、ときどきガラスが固いものに当たるような音が聞こえてくる。作家が生まれる前からずっとそこにあったという風景が、作家とも作品とも切り離せない固有の文脈を示し、前回の発表とは異なる性質を帯びた作品となった。帰り際に「おみやげ」が渡された。過去にここで制作されて置かれたままになっていたものだろうか、小さな陶器だった。この日の新聞紙に包まれていたのがまた心憎い。
[2月16日(土) 酒井千穂] |
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JOINT!!!!! 京都精華大学芸術学部デザイン学科映像分野3回生展
2/8〜2/16 元立誠小学校[京都] |
京都精華大学の3回生が一年をかけて準備したという各々のアニメーション作品上映企画。林ケイタや人長果月がゲストアーティストとして参加していたが、学生の作品も面白い。手書きのイラスト、写真のコマ撮り、3DCG、映像を使った空間インスタレーションなど、多様な表現を見て回るだけでも楽しい会場だったが、技術的にも内容的にも優れたものがあったし、侮っていたわけではないけれど、なかなかすごいじゃないですか!と学生を見直しました。
[2月16日(土) 酒井千穂] |
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京都市立芸術大学 学内展
2/13〜2/17 京都市立芸術大学[京都] |
バスを降りたら吹雪。激しい雪と風にさらされて、構内案内図もチラシも濡れてグシャグシャになってしまったけれど、やはり行ってよかったと思える卒業制作展だった。絵画は特に見応えがあった。大学院油画専攻の樫木知子は二枚の絵画を発表。風の流れや動きの表現には、温度や湿度の感触まで感じるようだった。馬鹿馬鹿しくて笑いを誘う山口冴子のアニメーション作品は強烈なインパクト。「ドイツのツイード、ドイツのツイード」と繰り返すフレーズが帰りのバスの中でも頭から離れず、それを思い出すと今でも歌いながら踊る二人の女の子の図像が浮かんでくる。
[2月17日(日) 酒井千穂] |
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