村田真/酒井千穂 |
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3/1〜3/4 |
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新鋭作家選抜シリーズ展2008 vol.5「H@L×河合晋平」
2/12〜3/1 HONMACHI ART GALLERY+シェ・ドゥーヴル[大阪] |
「存在物」は生物に対して、芸術表現という環境で進化する生態系。そんな見立てでこれまで、ロールパンやパスタ、綿棒などを奇妙な生き物に仕立てた作品をそれぞれ特徴ごとに分類し、まるで図鑑のように展示空間に表現してきた河合の新作。今回のマップピンと透明のゴムチューブからなる「種」は、ライトボックスの上に設置され、博物館に標本が並ぶように展示。繊細なカッティングや細工が際立っていた。これまでとは異なる軽やかで朧げな印象がまた想像を掻き立てる。SF映画にでも出てくるような形態もさることながら、進化の歴史をたどるようなストーリー性のある「存在物」体系の完成度がスゴイ。
[3月1日(土) 酒井千穂] |
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本田征爾 展──幻灯世界
2/18〜3/1 乙ギャラリー[大阪] |
マグロ延縄調査船に乗船する札幌市在住の作家。船上で描いた水彩画作品を発表している。海の色なのか空の色なのか、青い色の滲みが広がる絵画は浮遊感いっぱいで、つかみどころのない印象がある。寄生虫のような奇妙な生き物や自画像など、モチーフがどれもちょっと不気味でまるで夢の中の世界のようだが、描いているものには実際に生息する海中生物もあるそう。いくつか、見たこともないユーモラスな生き物が写った写真を見せてもらった。作品を見ると幻想的だなんて思ってしまうが、作家が描くものは海の上で数カ月を過ごすという日常で体験したリアルな世界でもあり、なんだか不思議だ。
[3月1日(日) 酒井千穂] |
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アーティスト・ファイル2008
3/5〜5/6 国立新美術館[東京] |
出品作家は竹村京、白井美穂、エリナ・ブロテルス、佐伯洋江、祐成政徳、ポリクセニ・パパペトルー、さわひらき、市川武史の6人。30代中心で、それなりに高い評価を受けているもののそれほど知られてもいない微妙な立場の人たち。海外の2人はぜんぜん知らなかったけど。こういうアーティストたちに国立美術館が発表の場を与えるのは高く評価すべきだが、作品は写真、映像が多く、絵画(佐伯)は紙素材だし、立体(祐成と市川)にいたっては風船という軽便な素材に偏ったのは、予算が限られていたから? とくに巨大空間に屹立する祐成の大作は、予想に反して新作ではなく、別の美術館で発表したものだという。学芸員によれば、ある場所でつくられたサイトスペシフィック作品を別の空間で再構成してもらうことに興味があったというが、そういう問題か?
[3月4日(火) 村田真] |
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ムンク展
1/19〜3/30 兵庫県立美術館[兵庫] |
《吸血鬼》《不安》《声/夏の夜》《生命のダンス》といった代表作の展示は今展の目玉だったが、興味深いのは、ムンクが《生命のフリーズ》を一連の壁画と考えて、展示の配列や組み合わせを試行錯誤していたという事実に焦点を当てた展示構成をしているところ。会場はハイベルク邸、オスロ大学講堂の壁画、チョコレート工場の装飾など、各プロジェクトごとにまとめられ、当時の装飾プランや各々の作品の文脈が明快だ。建築空間や制作の依頼人との関係など、ムンクのひととなりも垣間見えてくるようで面白い。映画を一本見たような気分になる充実した内容だった。
[3月4日(火) 酒井千穂] |
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