村田真/酒井千穂 |
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3/11〜3/12 |
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ウルビーノのヴィーナス
3/4〜5/18 国立西洋美術館[東京] |
去年はレオナルドの《受胎告知》が来たかと思ったら、今年はティツィアーノの《ウルビーノのヴィーナス》。ウフィツィ美術館も大盤振る舞いだなと思ったら、そういえばいま部分的に改装工事中だっけ。だとするなら来年はボッティチェリの《春》か《ヴィーナスの誕生》か。ともあれ今回の展示、《ウルビーノのヴィーナス》が飛び抜けているとはいえ、絵画だけでなく古代彫刻やカッソーネなど「ヴィーナス」をモチーフにあれこれかき集めていて、それなりに楽しめる。
[3月11日(火) 村田真] |
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手塚愛子 展
2/14/〜3/11 第一生命南ギャラリー[東京] |
手塚の織物以外の作品を初めて見た。といってもコプト織りの衣服を描いた油彩画なので、これまでどおりどこか自己言及的な香りが漂うが。やっぱり彼女は絵画的思考の人だ。
[3月11日(火) 村田真] |
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中比良真子展「The world turns over」
3/11〜23 neutron[京都] |
2006年のKYOTO ART MAPでの個展から約2年ぶりの中比良の新作展。風景における「鏡面」をテーマにした今展、水面に映って揺らぐ景色が、シンプルな色面で構成された背景とは対照的。いつも見ているはずのものの場所や様子を明確に思い出せないことはよくあるが、視界に入っていながらそのように無意識に見逃していく風景を美しく表現していた。振り返ってもう一度見たくなるような、意識を引きつける不安定な要素が魅力的だ。
[3月12日(水) 酒井千穂] |
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向き合えば省みる心──田中恒子コレクションによる太田三郎展
3/11〜23 ギャラリーすずき[京都] |
現代美術のコレクター、田中恒子氏が20年以上をかけて収集してきたコレクションのなかから太田三郎の「POST WAR」シリーズの全作品を展示するという展覧会。まず、ずらりと並列する作品の展示自体が美しくその数に圧倒される。「被爆者」、「被爆樹」、中国残留日本人孤児の肖像、無言館の「戦没画学生人名録」に掲載された作品写真や人物をモチーフにしたシートなど、各シリーズごとに分かれた展示にはすべての詳細な作品解説がついている。戦争をめぐる記憶や、その状況に否応なく巻き込まれていく人々の存在、それぞれの小さな切手作品からあぶり出されるメッセージはいっそうこの場では強力に感じられた。それは美術表現の可能性とパワーを如実に示していたが、そこに惚れ込んでずっとひとりの作家を見つめてきた田中さんの「作家の伴走者でありたい」という言葉にはなにより打たれる思いがした。
[3月12日(水) 酒井千穂] |
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