村田真/酒井千穂 |
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5/5〜5/8 |
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SICF(Bグループ)
5/4,5 スパイラルホール[東京] |
全体的にAグループよりマシだが、賞に値するものは見当たらず、困ったなあと思いつつ出ようとした最後のブースでようやく引っかかった。ブースの正面の壁にドローイングをチョロッと描いた紙切れが1枚。ずいぶん投げやりな展示だなあと思いながら近づいてみると、これがなかなか達者な線。ほほおと感心して振り返ってみれば、通路から見えない壁面にアニメを映し出していて、これもけっこうイケてる。なによりイジケたプレゼンが泣かせるではないか。かたわらには小学生が使いそうなスケッチブックが積み上げてあり、一見なぐり描きのようなドローイングが……。ここにいたって、こいつは確信犯だと確信したね。作者は植田工。その後の審査会でぼくはイチオシしたが、だれも賛同者はなく、めでたく村田真賞に決まりました。あとで調べてみたら、植田くんは芸大で「P植田」と呼ばれ、布施英利や茂木健一郎にかわいがられていたらしい。わかる気がする。
[5月5日(日) 村田真] |
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井の頭自然文化園彫刻園[東京] |
約1年ぶりの五月晴れ。妻と2匹の子ザルを連れて井の頭へ。ここの公園にはたまに来るけど、有料の自然文化園に入るのはひょっとしたら50年ぶりかも。3歳まで久我山に住んでいて、ときどき遊びに来ていたからだ。ここにいる動物はサル、リス、アライグマなど地味な国産ものが大半で、唯一の目玉がアジアゾウのはな子。でも彼女もすでに60歳を超え、アイドルというには無理がある。待てよ、60歳ということは、ぼくが幼児のころ見ていたかもしれない、と思って調べてみたら、戦後まもなく上野公園に連れてこられ、まさにぼくの生まれた1954年に井の頭に引越してきたそうだ。そうか、半世紀前に会っていたんだなあ……なんて話はどうでもよくて、本題はその奥にある北村西望の彫刻館。以前、木下直之先生に教わったスポットだ。西望といえば長崎の平和祈念像のモニュメントで知られる、というか、それ以外ほとんど知られていない彫刻家だが、その平和祈念像をつくったアトリエと遺作が都に寄贈され、公開されているのだ。作品をざっと見わたすと、戦前・戦中は多くの武将や軍人の記念碑的彫像を手がけ、国威発揚に寄与しつつ、戦後は一転して平和祈念像みたいな反戦・反核モニュメントに励んだように見えるが、よく見るとそう単純ではなく、戦後も武将の彫刻をつくったりしている。この天真爛漫さが102歳という長寿をまっとうせしめたのだろう。
[5月6日(月) 村田真] |
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アフリカ希望の大地写真展
4/27〜5/29 BankART1929[神奈川] |
アフリカの写真展というと「自然」「ジャングル」「野生動物」という陳腐なイメージしか思い浮かばないのはもうどうしようもないのだが、当然ながら「人間」とその「営み」も写されている。でもその「人間」と「営み」もアフリカの場合「自然」に属しているように見えてしまうのは、われわれがいかに「自然」から遠いところで暮らしているかの証でもある。という見方にこそ、いつまでたってもアフリカを他人事のようにしか感じられない根強い先入観がひそんでいるのかもしれない。
[5月7日(水) 村田真] |
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一円破顔のゴッホとの対話展
5/3〜6/1 ZAIM別館202[神奈川] |
ありふれた絵の展覧会なのだが、作者の一円破顔は99歳年上のゴッホに心酔しているらしく、たびたびゴッホが彼のもとを訪れては対話を交わすらしい。その対話の抜粋と、ゴッホやセザンヌらの複製画も展示してある。前世紀の巨匠らと対等に語らうという、まあ一種の妄想なのだが、安っぽい額縁や無造作きわまりないディスプレイもあわせて、それはそれで場末なアウトサイダー的味わいを楽しめる。
[5月8日(木) 村田真] |
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