村田真/酒井千穂 |
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5/28〜5/29 |
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岡鹿之助展
4/26〜7/6 ブリヂストン美術館[東京] |
岡鹿之助の名は高校のころ『油絵のマティエール』という技法書の著者として知ったけど、その作品は絵肌がパサついてるし、描くものもウソっぽく、いちどもいいと思ったことがなかった。今回まとめて見る機会を得たが、その思いは強まりこそすれ薄まることはなかった。しかも初期から晩年まで金太郎飴みたいにスタイルがほとんど変わらないから、1点たりともいいと思える作品がないのだ。これはある意味で快挙といっていい。なぜこのような画家が評価されるのか、日本美術の大きなナゾだ。ちなみに油絵の修復で知られる歌田眞介氏は、その著書で岡の技法をコキおろしている。
[5月28日(水) 村田真] |
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坂田栄一郎写真展 LOVE CALL
5/9〜6/8 行幸地下ギャラリー[東京] |
アエラの表紙を飾ってきた坂田栄一郎の肖像写真展。丸ビルや新丸ビルでも展示されていたが、時間がなかったのでここしか見られなかった。写真はすべてモノクロで年代順に並んでいる。初期のころはカメラをひいてモデルの上半身を小道具とともに撮るパターンが多かったのに、近年は大半が顔のみのアップ。この違いはなんだろう? カメラマンが自信をつけてきたのか、それとも時代の要請か。
[5月28日(水) 村田真] |
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島庸二「グーテンベルクの塩竈焼き」
5/9〜5/28 ストライプハウスギャラリー[東京] |
島さんは長く『いけ花龍生』の編集長を務め、引退後は千葉県の大平洋岸に居をかまえて美食と美術を追求してきた人。活字、料理、制作──その人生のすべての要素を注ぎ込んだのがこの「グーテンベルクの塩竈焼き」だ。レシピは、廃棄された26冊の百科事典を塩漬けにし、塩と卵白、片栗粉を混ぜたペーストで包み込み、炭で焼くというもの。鯛の塩竈焼きの書籍版と思えばいいのだが、もちろん真っ黒に焼けた本は食えるわけでも読めるわけでもないし、おまけに焚書を連想させるという挑発的な作品だ。
[5月28日(水) 村田真] |
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池松江美
4/11〜5/31 無人島プロダクション[東京] |
写真を中心とした展示。伸ばした手の先に下着や宝石が写っていたり、少女が無邪気にあそんでいたり、というシリーズ。とてもわかりやすい。
[5月29日(木) 村田真] |
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アルフレッド・ジャー
5/29〜7/3 ケンジタキギャラリー東京[東京] |
大きなライトボックスが壁に向かって立ち、壁にかけられた細長い鏡に写真が映し出されている。つまり観客は鏡を通して手前のライトボックスの写真をのぞき見るわけだ。写真は反戦集会やデモを撮ったものらしい。壁には「生ましめんかな」で知られる反戦・反核の詩人、栗原貞子の詩も掲げてある。チリ生まれニューヨーク在住のジャーが、なぜ日本では知名度の低い詩人を知っているのか不思議だが、おそらく海外でのほうが有名なのだろう。ともあれテーマも切れ味も日本人にはないものだ。
[5月29日(木) 村田真] |
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