小吹隆文/福住廉 |
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5/21〜5/22 |
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マイ・アートフル・ライフ──描くことのよろこび
4/26〜5/25 川口市立アートギャラリー・アトリア[埼玉] |
塔本シスコ、丸木スマ、石山朔による展覧会。石山以外はすでに亡くなっているが、3人の共通点は、いずれも正規の美術教育を受けておらず、70歳を過ぎてから旺盛な制作をはじめ作品を発表したこと。そして描かれた絵には、いずれも描写の快楽が満ち溢れていること。なかでも石山朔の抽象画は圧巻だ。カラフルなレインボーカラーが縦横無尽に躍動する500号もの巨大な画面には、色彩の重層的な密度が圧倒的なエネルギーを生み出している。一見すると激情を叩きつける熱い抽象のようにも見えるが、しかし緻密に計算された色彩の塊を指先や綿棒で入念に塗り広げていく手法が物語っているように、石山の抽象画に一貫しているのは、瞬発力というより持久力を要する厳密な空間構成である。その秩序を伴った自立的な運動が、誰も見たことのない独自の画境を切り開いているのかもしれない。今後の活躍がもっとも期待される絵描きのひとりだ。
[5月21日(水) 福住廉] |
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富士──山を写し、山に想う
3/22〜6/29 宮内庁三の丸尚蔵館[東京] |
富士山を描いた日本画、洋画、写真を集めた展覧会。横山大観をはじめ、堂本印象、前田青邨、奥村土牛、山元桜月、片岡球子などによる50点あまりの作品を展示している。霊峰として信仰の対象とされ写実的に描かれていた富士が、次第に日本の象徴としての役割を果たすために理想化されて描かれていく過程を見ていくと、日本の近代化の推移が手に取るように分かる。解説文には、聖山としての富士をたびたび描き出してきた横山大観が、じつは富士山に登ったこともなければ、スケッチしたことすらなかったという事実が伝えられていたが、大観は端からシンボルとしての富士にしか興味がなかったということだろう。
[5月22日(木) 福住廉] |
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ゼロダテ/東京展2008「北東北アートネットワーク」
5/3〜5/25 プロジェクトスペースKANDADA[東京] |
中村政人をはじめとする秋田県大館市出身のクリエイターが中心となって運営するアート・プロジェクト「ゼロダテ」による東京での展覧会。「ゼロダテ東京」「ゼロダテ大館」のほか、秋田市の「ココラボラトリー」、青森市の「空間実験室」、花巻市の「アート@つちざわ」などのグループが集合し、決して広くはない会場で無数の作品を展示した。秋田に限らず、このような地域に根ざしたアート・プロジェクトは全国各地で行なわれているはずだが、そのドキュメントではなく、あくまでも作品を東京で発表したことに大きな意義がある。
[5月22日(木) 福住廉] |
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