小吹隆文/福住廉 |
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6/11〜6/16 |
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大田ゆら─覆う眺め─
6/4〜28 イムラアートギャラリー[京都] |
大田ゆらの作品は高い所から人間を見下ろした構図で描かれている。人々は記念撮影していたり、思い思いに歩いていたり、喋っていたり。人間がとても小さく描かれているので、最初は冷徹な眼差しの絵なのかなと思ったが、むしろ温かみを感じる部分もある。ベースにあるのは人間への共感なのかもしれない。地面が水色で塗られているため、人々が宙を浮いているようにも見える。この独特の浮遊感が作品の解釈の幅を広げているのであろう。
[6月11日(水) 小吹隆文] |
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井川健─漆─
6/7〜15 祇をん小西[京都] |
羽根のような形をしたオブジェが和室の床に置かれていた。器としての実用性をぎりぎり保っているが、それ以上にフォルムの美しさが際立っている。映り込みや照明の反射により、見る位置ごとに表情が変わるのが楽しい。漆の仕上げが上質な証拠であろう。非常にモダンな造形なのに、京町家にしっくり馴染んでいるのも良かった。
[6月11日(水) 小吹隆文] |
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民衆の鼓動 韓国美術のリアリズム 1945-2005
5/24〜6/29 西宮市大谷記念美術館[兵庫] |
リアリズム絵画が韓国で盛り上がっていたなんて、全然知らなかった。それも軍事体制下の1970年代までではなく、民主化が進む1980年代の動きというのが面白い。国際的な潮流とは無関係に発展したガラパゴス的所産という意味では、1989年ごろに見た展覧会「東ドイツ美術の現在」が思い出されもした。画題から察するに、抑圧されていた左翼思想と、民族主義的な感情が融合して噴出したようだ。これらの作品は韓国美術界でどの程度の影響力を放っていたのだろうか。その辺りはもう少し見えやすくしてほしかった。
[6月15日(日) 小吹隆文] |
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芝高康造 展「ボッティチェリをほる」
6/16〜28 信濃橋画廊[大阪] |
ふたつの異なるタイプの作品を発表。ひとつはボッティチェリ作《ヴィーナスの誕生》を原画とする作品群。原画の一部をトレースしているのだが、そこから意外なほどの官能性を引き出しているのがこの人らしい。もうひとつは試刷りをリユースした本型の作品。上から色を塗ったり紙に穴を開けたりしているため、もはや元の様子は分からない。こちらは色彩が強烈で、官能性だけでなく雅な空気もまとっていた。
[6月16日(月) 小吹隆文] |
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