小吹隆文/福住廉 |
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6/3〜6/10 |
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傍嶋飛龍 展
5/30〜6/17 アートゾーン神楽岡[京都] |
3点の大作絵画と約150点のドローイング連作、木口木版画、太鼓、万華鏡などバラエティに富んだ作品を出品。大画面に鮮やかな色彩と線で人や動物、自作の文字などがびっしりと描き込まれた作品は、みなぎるパワーと独特のトリップ感があり、中南米文学のマジック・リアリズムの世界を連想させた。一転してドローイングの連作は一つの主題をシンプルに描いたもので、ほっこりした暖かみが心地よい。画廊には混沌を孕んだ陽性のパワーが充満しており、見終わった後、元気をおすそ分けしてもらったような気分になった。
[6月3日(火) 小吹隆文] |
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淺井裕介 個展──のびちぢみするつち
5/17〜6/8 Art Center Ongoing[東京] |
マスキングテープによって描かれた植物をどこまでも拡張させていく「マスキング・プラント」で知られる淺井裕介の個展。会場付近で採取した数種の土を用いた壁画を室内で、マスキング・プラントを屋上でそれぞれ発表した。さらに近隣の駐車場では、そこの壁に描かれたグラフィティにもマスキングを施し、ある種のコラボレーションを勝手に実行した。淺井裕介は、描くことによって思考する、今となっては珍しいアーティストである。
[6月7日(土) 福住廉] |
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中田憲男 展「なつかしい未来」
6/9〜21 ギャラリーH.O.T[大阪] |
以前は平面的で記号化されたイメージを描いていた中田だが、近年は細密な具象画で海などの自然を描いた作品を発表している。本展でも大海原を描いた超ワイドな作品などが出品された。こうした作品の意図は、「絵画以外では不可能な時間・空間表現をすること」。目に見える風景そのものに見える作品だが、実際にはかなり加工が施されているらしい。
[6月9日(月) 小吹隆文] |
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ナンシー関・大ハンコ展
6/5〜6/15 Parco Factory[東京] |
没後はじめてとなるナンシー関の回顧展。消しゴム版画の原型をはじめ、自筆原稿、制作道具、自宅のデスクを再現した部屋やナンシーと縁のあった文化人たちによるコメントを紹介する映像などが展示された。しばしば「ナンシー以後」という言い方がされているように、ナンシー亡き後の時代は確実に退屈になっていることを再確認させられる展覧会だった。
[6月10日(火) 福住廉] |
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森山大道 展「I. レトロスペクティブ 1965-2005」
5/13〜6/29 東京都写真美術館[東京] |
写真家・森山大道の回顧展。デビュー当時から近年にいたるまでを時系列に沿って展示している。この展覧会でいちばんのみどころは、展覧会の内容はもとより、関連企画として森山大道の公募論文を募集したこと。同館館長の福原義春をはじめ、TBS報道局長の金平茂紀、美術評論家の清水穣、同館事業企画課長の笠原美智子が審査員となり、入賞1名、入選3名を選んだ。入賞作は「森山大道論」という著作に収録されるらしいが、入選作はホームページ上で読むことができるし、審査基準とそれぞれの審査員による講評もあわせて公開されている。これほどまでに民主的かつ本格的に批評的な言説活動を公立美術館が企画した例はほとんど聞いたことがないから、これは画期的な出来事といってよいのではないだろうか。高い人気の反面、批評に乏しかった森山だからこそ実現した企画ともいえるが、これを前例として今後も同様の企画が発展することを期待せずにはいられない。
[6月10日(火) 福住廉] |
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